日本の「全体像」は届かない

私は香港中文大学で日本政治と外交を教えたことがあります。日米同盟、安全保障環境、インド太平洋戦略などを扱いましたが、受講生は30人前後でした。一方、マンガ文化やアニメ研究の授業には300人近い学生が集まりました。大学では受講する学生の数が、予算や教員数に直結します。人気分野は拡大し、政策研究は縮小する。この構造は香港だけでなく、台湾、シンガポール、カナダ、アメリカでも見られます。

その結果、日本は「面白い文化の国」、いわばクールジャパンとしては世界的に人気がある一方、「戦略を持つ国家」としての理解が広がりにくいという構造的な課題を抱えているのです。結果として、日本=「フジヤマ・ゲイシャ・サムライ」もしくは、「アニメ・漫画・キャラクター」といったステレオタイプでしか海外では語られないというジレンマを抱えています。

見えにくい日本の現実

しかし実際の日本は、静かに重要な役割を果たしています。