度重なる災害で道路はズタズタ
2019年10月11日から12日かけて、台風19号が東日本に記録的な大被害をもたらし、東俣林道は2カ所で大崩落、30カ所以上で斜面崩壊、落石、土砂流出などに見舞われ、通行止めとなった。西俣管理道路はほぼ全面的に損壊してしまった。
金子社長が準備工事の再開を求めて川勝知事と面談した4日後、再び、豪雨が東俣林道を襲い、路肩欠損や道路冠水、斜面崩壊などで道路閉鎖に追い込まれた。2022年には8月の台風8号、9月の台風14号、15号が立て続けに襲った。その後も台風や大雨、豪雨などで斜面崩壊、路肩崩壊など毎年のように起きて、道路閉鎖に追い込まれている。
現在も、東俣林道には大型車両が入ることができない。当然、本格的に準備工事ができない状況だ。
2026年4月5日、千石ヤード手前の大尻橋で大きな岩が崩れて、橋脚と当たり、大型車両は通行止めとなり、復旧の見込みは立っていない。さらに6月26、27日の大雨で、沼平ゲートの近くで路肩欠損が起きて、乗用車しか通行できない。こちらは工事用車両の通行ができず、復旧の見込みどころか、まだ被害調査も行われていない。
この2カ所だけでなく、数多くの場所で路肩欠損が起き、落石注意個所も多い。当然、3カ月で準備工事は終わらせるのは難しいだろう。南アルプスの工事現場は非常に厳しい環境にあり、いくら着工許可が出ても、そう簡単にはいかない。
工事費が膨れ上がる中、開業時期は…
丹羽俊介社長は、2025年10月29日、品川、名古屋間の総工事費を概算で11兆円とする発表を行った。2010年当時、5兆4300億円だったから、2倍以上に総工事費が膨れ上がったことになる。
その際、「2035年」を開業時期として便宜上、仮置きした。静岡工区の工事が始まった時点で、あらためて開業時期を発表するとしていた。
いま振り返れば、2027年開業はJR東海の単なる目標に過ぎなかった。政府から3兆円の特別の財政投融資を受けたことで、絶対に守る開業年となってしまった。
開業遅れの原因としていた静岡県で、ようやく着工の見通しがたった。さて次回は、ぜひ南アルプスの現実に即した開業時期を発表すべきである。



