リニア静岡工区の着工に残された課題がまた一つ解決した。ジャーナリストの小林一哉さんは「トンネルで出る要対策土について、JR東海が大きな方針転換をし、県が了承した。JR東海はここにきてカネと時間をかけてでも着工を目指す方針に舵を切った」という――。

残された「土」の問題もついに解決

静岡工区のリニア工事について、川勝平太前知事は「水」と「土」の大きく2つの置き土産を残した。このうち大井川の「水」についてはことし1月、JR東海が無期限で補償するという形で決着がついたが、トンネル掘削で出る「要対策土」をどこでどう処理するかについては議論が続いていた。

だが、ついにJR東海は「土」の解決ももぎ取った。

2月4日の県地質構造・水資源専門部会で、ヒ素、フッ素、セレンなど自然由来の重金属を含む要対策土の発生土置き場問題について、JR東海が示した新たな提案が了承されたのだ。

2026年2月4日に開かれた静岡県専門部会
筆者撮影
2026年2月4日に開かれた静岡県専門部会

これまで、JR東海は要対策土を南アルプスの「藤島」地域に盛り土する計画を届け出ていた。だが、県は川勝知事時代の「置き土産」を理由に難色を示していた。

「藤島」が認められないのは、2021年7月の熱海土石流災害を機に制定された静岡県の盛り土等に関する規制条例で、自然由来の重金属等の要対策土の盛り土を原則禁止したからである。

そのため、県は川勝知事がトップだった時代、JR東海に計画そのものの見直しを求めてきた。

川勝知事は「リニア計画時にこのような厳しい条例は制定されていなかった。しかし、新たな条例に書かれている通り、重金属などの要対策土の盛り土は認められない。『藤島』の場合、適用除外にならないこともはっきりしている」と何度も述べていた。

JR東海は条例の適用除外として「藤島」を認めてもらえるよう県に働き掛け続けてきた。しかし、「藤島」は適用除外となる要件を満たさないという県の強硬な姿勢は変わらず、JR東海は条例の壁を突き崩すことができずにいた。