磁力で土を浄化する「オンサイト処理」を提案

このような中で、昨年10月29日の専門部会でJR東海は大きな方針転換を行った。

それが、要対策土をオンサイト処理(磁力選別による浄化処理)で減量化するという新たな手法である。

リニア静岡工区で発生する要対策土は、ヒ素など自然由来の重金属等を含む汚染土壌と酸性土があり、JR東海は、静岡工区のトンネル工事で汚染土壌約3万立方メートル、酸性土約3万立方メートルが発生すると見込んでいる。

このうち、静岡県が条例で盛り土を禁止しているのは自然由来の重金属等を含んだものであり、酸性土は含まれない。つまり、酸性土であれば、二重遮水シートによる封じ込めなどの対策を施した「藤島」に盛り土しても条例に触れないから、何ら問題ないことになる。

一方、要対策土は条例の高い壁に阻まれるから、それを何とかしなければならなかった。

藤島残土置き場を視察した鈴木康友知事
写真提供=静岡県
藤島残土置き場を視察した鈴木康友知事

JR東海の提案したオンサイト処理とは、要対策土に鉄粉等を混合し、重金属等を鉄粉に吸着させたあと、磁力によって選別を行い、重金属等が含まれない「浄化土」と重金属等を大量に含む「濃縮土」に分離する方法である。

オンサイト処理を施した浄化土は通常の盛り土をすることが可能だ。

一方、重金属等を含む濃縮土は可能な限り速やかにリニア工事現場外に搬出して、最終的な汚染土壌処理施設に運ぶことになる。

体積が減り、搬出するトラックも少なく済む

県はこれまで、重金属等を含む要対策土については大井川流域外への搬出をJR東海に要請していた。

これに対してJR東海は、いちばん近くの汚染土壌の最終処分場まで約100キロと遠く、搬出までの仮置き場として新たな土地の確保が必要となることや、搬出のための工事用車両が増加し、騒音、振動、大気汚染等の影響が出ることから合理的ではないと説明していた。

新たな汚染土壌施設を設置するにしても、許可権限を有する静岡市に申請してから供用開始までに数年単位の期間を要することが見込まれるとして消極的だった。

これに対して、オンサイト処理で重金属等を含む濃縮土とすれば、体積が全体の10分の1程度となる。1日の汚染土壌の最大処理量150立方メートルが、オンサイト処理を施せば、1割の15立方メートルほどの濃縮土に圧縮され、搬出のためのダンプトラックは1日最大4台程度で済むという。

すべての汚染土壌を搬出するには、従来は1日最大40台のトラックが必要とされていたが、それが4台程度のトラックで済めば、騒音、振動や環境負荷などの点でも許容範囲内になるという。