静岡県とJR東海が結んだ「補償」の中身
静岡県庁で1月24日、とある「茶番劇」が大々的に行われた。
リニア中央新幹線工事の品川―名古屋間の中で唯一、未着工である南アルプストンネル工事の静岡工区着工への詰めとも言える大井川中下流域の水資源に影響が生じた場合の「補償確認書」締結式が行われたのだ。
JR東海の丹羽俊介社長が静岡県庁を訪れ、鈴木康友知事とともに補償確認書に署名した。
静岡工区のリニア工事を巡っては、県民が生活用水に使用する大井川の流量に影響が出ることが懸念され、県とJR東海との間で流量の回復方法や補償内容について話し合いが続けられてきた。
工事後の補償問題について、大井川流域の10自治体らはこれまで、流域の水資源に影響が出た場合、①請求の期限や機能回復や費用を限度なく負担すること、②立証の責任は利用者ではなく、JR東海にあることの2点を示して、さらに、③国の関与を求め、国の指導でJR東海が対応することを求めていた。
最もハードルが高いと見られたのは、「③国の関与を求め、国の指導でJR東海が対応すること」だった。流域市町はこれまで国が補償を担保することを求めていた。
2026年中の着工が確実に
確認書では「国土交通省も関与する中立的・継続的なモニタリング体制において専門的見地から確認し、国土交通省の指導のもと、JR東海において所要の対応が講じられるようにすること」となっており、補償に対して国の担保などは全く記されなかった。
民間事業であるリニアのトンネル工事影響の解決に対して、国が何らかの担保をすることはふつうありえない。
これに対して、国交省は水嶋智・事務次官を立ち会わせ、鈴木知事、丹羽社長が補償確認事項を合意したことを確認して、水嶋氏自身が同確認書に署名した。
実際には水嶋氏は単なるオブザーバーでしかない。しかし、出席した流域市町長らはただ粛々と締結式を見守った。
というのも、国の事務方トップである水嶋氏が出席する仰々しい締結式が底の割れた「茶番劇」であることを関係者全員が承知していたからである。
いずれにしても、流域市町長ら全員が了解したことで、水問題に関する懸案事項はすべて解決したことになる。
今回の締結式は、静岡工区の着工に至るまでに残された最難関の課題だった。まだ細かな課題は残されているが、何らかのアクシデントがない限り、静岡工区は2026年中に着工されることが確実となった。


