山梨のトンネル工事は9年半で43%

南アルプストンネル山梨工区は2015年12月に起工式を行い、10年間の工期で工事完了を予定、長野工区は2016年11月に起工式を行い、やはり10年程度で工事完了を目指していた。

ところが2024年から2025年にかけて、 JR東海は山梨、長野の両工区でもトンネル工事が大幅に遅れる見通しを示した。いずれも工期を5年ほど延ばして、2031年頃の工事完了を見込んでいる。

JR東海によると、山梨工区7.7キロの場合、2026年5月13日に山梨県の早川橋梁につながる品川方面の坑口が貫通して、これで掘削率43%、3.3キロが掘進されたというのだ。

山梨工区のトンネル工事完了を2031年としているが、電気工事、ガイドウェイ設置などの完了時期は未定だという。トンネル工事の工期は「10年」ではなく、当初から数えれば「16年」となっている。

2015年12月にスタートしているから、約9年半たったが、いまだに50%も掘り進んでいない。長野工区も同じような状況であり、何よりも山梨、長野の両工区ともこれから、超難関となる静岡県境を越えての掘削が待ち構えている。

これからが難工事の本番であり、山梨、長野の両工区のトンネル工事が2031年に完了する保証はどこにもない。

【図表】南アルプストンネル縦断線形

どんなに早くても「2042年」までかかる

しかも静岡工区の場合、山梨、長野の両工区と違って、リニアトンネル本体工事に加えて別の「巨大事業」が必要となる。

大井川にリニアトンネルで発生する湧水を全量戻すための11.4キロという長大な導水路トンネルを建設すること、そして、大型車両用の道路がない山奥での工事なので、トンネル掘削の発生土を搬出するために2つのヤード(作業基地)を結ぶ3.9キロの工事用道路トンネルを建設することである。

余分な2本を含めて6本ものトンネルを静岡工区では掘削しなければならない。それもすべてが大土被りのトンネル工事となる。

となると、南アルプストンネル工事の最難関とされる静岡工区の工事では、最初から、現在の山梨工区の工期「16年」は見ておかなければならない。そうなると、2026年に工事着工しても、どんなに早くても「2042年」までかかることになる。