話題のビジネス書をよく読むけれど、なかなか当たりの本に出合わない。そう感じている方は、ぜひ古典を読んでいただきたいと思います。

年間に数多くの書籍が発行される中で、いい本を選ぶのは大変難しい作業です。その中で、「時代を超えて読み継がれ続けてきた」という事実は価値の高さを担保しており、はずれの本をつかむ可能性が格段に下がります。

調達コンサルタント・未来調達研究所取締役 坂口孝則 Takanori Sakaguchi 1978年、佐賀県生まれ。大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。サプライチェーン分野の知識を使い、ものづくり領域の先端解説などを行う。著書多数。
調達コンサルタント・未来調達研究所取締役
坂口孝則 Takanori Sakaguchi
1978年、佐賀県生まれ。大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。サプライチェーン分野の知識を使い、ものづくり領域の先端解説などを行う。著書多数。

古典を読むと、その問題意識のほとんどは現代に通じていることがわかります。たとえば、昨今問題視されている国家とプライバシーのありようは、哲学者のフーコーが緻密な議論を重ねてきたものです。現代の自己啓発書は、過去の哲学書に書かれた内容を薄めたものと言っても過言ではありません。

とはいえ、「古典は読みにくく、つまらない」と感じる人も多いでしょう。今となっては内容が古臭く思える古典や、後の歴史の中で間違いを見つけられた古典も少なくありません。

なので、書いてあることの一言一句を信用して、そのまま学ぶ必要はないと思います。私自身は古典を真正面から読み解くのではなく、思考の相手として役立つ「たたき台」として使っています。「こんな本が評価される時代とは、一体どんな時代だったんだろう?」と考え、読書をきっかけにして新しい発想を得るために読むのです。

昔、中国の古典から名言を精選しわかりやすく解説してある『中国古典名言事典』(諸橋轍次著)を1ページ読めば、1本のエッセイが書けると教わったことがありました。物事をゼロから考えるのではなく、昔の人の世界観や考え方を読んで学び、それをもとに自分と対話して着想したほうが早いというのです。

私は読書していて気になったフレーズと出合ったとき、自分が何を考えたかをずっと記録しています。昔は紙のノートを使っていましたが、今はグーグル・ドキュメントに音声入力でメモしています。本を読みながら、「『限界に気づくということは、すでに限界を超えているということである』とヘーゲルは唱えた。この文言はセミナーで使えるんじゃないか」「『外国と傭兵に頼る国は滅びる』とマキャベリは書いているけど、企業に置き換えると、外注や調達と同じではないだろうか」など声に出していくのです。

このメモを頻繁には読み返しませんが、原稿を書くとき、使えるネタがないか見返すこともあります。自己と対話して思考を広げつつ、後日のアウトプットにもつながっていくわけです。

また、古典が発する高尚なイメージに気圧されて、手に取るのを躊躇する方がいるかもしれません。しかし、「ルソーはプライベートではどうしようもない人だった」「孔子は偉人というよりちょっと困った人だった」などの指摘もあります。古典はすごいかもしれないけど、古典を書いている人は聖人君子だったわけではない。単行本1冊の文字量は大体10万字ほどですが、その文字数を机に向かって書ける人は、相当な自意識過剰の人しかいないと思うんです。古典は過剰に崇め奉らず、もっと気さくに読んでいいのではないでしょうか。

もう古典に挫けない! チートテクで読みこなす

古典に苦手意識のある人に、読むテクニックを3つ紹介します。

(構成=川口昌人)