評者が本書を知ったのは、発売直後に書店がSNSで紹介したところ、ある市議会議員が「ヘイト本」を紹介するなと激怒した事件があったからだ。川口市のクルド人による各種不法行為はすでに問題視されているが、賛否の議論にかなり開きがある。その中で「ヘイト本」と罵られるとは、よほどひどいことが書いてあるのかと思ったら……。

拍子抜けした。本書は特にこの問題に利害もないルポライターが、川口市とその周辺を実際にまわって取材した結果を普通にまとめた本なのだ。

これまでに報じられた各種事件のまとめ、現地での関係者へのヒアリング、クルド人たちの出入りする店や、クルド人側への取材 (の失敗)。そしてもう少し広い社会経済的な状況への考察。ヘイトなどと呼ばれるべき内容は皆無だ。