ハーバード受験のための学習プラン

以来、私はスケジュールを組むときに、今の私にとって「大きな石」は何かを考えるようになりました。そしてできるだけ、まとまった時間には優先的に「大きな石」を入れるようにしていったのです。

これは勉強の予定を組むときにも同様です。先ほども触れましたが、ハーバード公衆衛生大学院を受験するには、次の勉強・準備が必要でした。

◦TOEFLとGREのスコアで高得点をとること

◦小論文「私はどんな母子保健の専門家になって世の中に貢献したいか」の作成

では、これらの勉強の計画をどのように立てたか。

TOEFLの勉強もやりつつ小論文の内容も考えるというように、基本はここでも同時並行でした。ただし、そのときどきで「今は何がいちばん大きな石か」を意識しながらスケジュールを組んでいきました。

たとえばTOEFLとGREの試験前は、そのための勉強が「大きな石」になります。TOEFLもGREも、試験はほぼ毎月1回実施されており、合格レベルの点数をとるまで(ただし大学院の応募締め切りまで)何度でも受けられます。

どちらも受験料は安くないので、ある程度力がついてから試験を受ける、と考える人が少なくありませんが、私の場合はまず早めに試験の予約を入れてしまいました。先に試験の日程が決まっていたほうが自分を追い込める、と考えたのです。

「受験料が高いから、そう何度も受けられない。とにかく早く合格点をとろう!」とわざと自分を焦らせました。

これらの点数がとれたあとは、小論文の作成が、私にとって何よりも「大きな石」。集中して頭をフル回転させなければできない作業だったので、大学院の応募締め切り直前まで、早朝のまとまった時間はほぼ小論文作成に費やしました。

生み出した時間で「何をやるか」が何倍も大事

この「大きな石」を意識してスケジュールを組むやり方は、受験勉強が終わったあとも続いています。

さあ仕事を始めようというとき、ついつい大好きなメールからチェックし、気づけばメールのやりとりだけで1時間以上たっていた、ということがあります。

もちろん重要なメールもありますが、あとから考えれば「そんなに時間をかける必要はなかったかも……」と思うときもしばしば。そんな自分を戒めるためにも、スケジュールを組むときには「大きな石」を意識するのです。

まとまった時間は、もっとも優先すべき「大きな石」をあて、細切れに生まれた時間に「小さな石や砂」ともいえる小さな作業をあてる。

吉田穂波『「時間がない」から、なんでもできる!』(サンマーク出版)

苦労して時間を生み出したとしても、それを自分自身の向上や最優先事項につなげられるかどうかはまさに自分次第。

朝時間でも、他の時間でも、時間を生み出すことはもちろん大切です。でもそれ以上に、その時間で何をするのか、それをよく吟味することの大切さを教えてくれたのがこの話でした。

自分にとって「大きな石」が何かを常に意識することが、時間密度を高めることにつながるのです。

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