同時並行で多くのことをできる人は何をしているか。医師の吉田穂波さんは「産婦人科医として勤務しながら、受験勉強・子育て・家事を両立し2人の子どもを連れてアメリカへ留学できたのは時間の制約があったからだ。『目が回るほど時間がなく忙しい』というときは、ステージアップのチャンスである」という――。

※本稿は、吉田穂波『「時間がない」から、なんでもできる!』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

子どものそばで在宅ワークを進める母親
写真=iStock.com/kohei_hara
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忙しいときに限って机を片づけたくなる理由

「勤務先では、一日中、めいっぱい仕事、仕事、仕事。家に帰ってもバタンキューで寝るだけ。朝起きてまた仕事に向かって、夜遅くまで仕事」
「慌ただしい仕事を終えたら、保育園のお迎えをして今度は家事と育児。まったく自分の時間もない」
「仕事に家事に、一日中てんてこ舞い。自分がしたいことをするどころか、毎日を回していくのでせいいっぱい」

こんなふうに愚痴ってしまいたくなるときがありませんか?

その気持ち、すごくよくわかります。私もそうでした。

でも、今ならこういえます。

「毎日忙しくて消耗しますよね。でも時間がないということは、実はすごいチャンスなのですよ。やりたいことを始める最大のチャンスです!」と。

時間が自由にならなくて、何かに追われているときに限って「やりたい!」という強烈な思いが湧き上がってきた経験はないでしょうか?

「本当はこうしたいのに!」「そういえば、これもやろうと思っていたんだった」「あれもしたい」……まるで、身動きのとれない現状から抜け出そうとするかのように、他の何かに熱中したくなる経験。

しなければならないことが目の前にあるときに限って、整理整頓をしてみたくなったりするのも、時間に追われ、切羽詰まった自分が「きれいで居心地のいい場所に」という無意識の本能をふと思い出し、そのエネルギーが湧いたということ。

たとえば私の場合なら、子どもができて自分の時間が制限されるようになったとたん、それまではあまりありがたみがわからなかった勉強会などに無性に出たくなりました。

忙しくなればなるほど「あの本が読みたい」「生で落語や演劇をたい」「英語を勉強したい」「旅行に行きたい」など、やりたいことが増えていきました。

そう、自由な時間がないとき、忙しいときというのは、実は「やる気」のエネルギーが満ちあふれるときでもあるのです。

このエネルギーが噴出しているときは、やりたいことを始める最大のチャンス。

ときとしてそのエネルギーは、自分の人生を切り開く力さえもっている。

私はそう思っています。