※本稿は、吉田穂波『「時間がない」から、なんでもできる!』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
「ひとつずつ順番に」やるには、人生は短すぎる
留学を決意したときには娘がふたりでしたが、ハーバード公衆衛生大学院に合格し、入学のために渡米したときには、生後1カ月の三女が増えていました。
3歳、1歳、0歳の3人の幼子を連れて留学したと話すとたいてい驚かれますが、その相手の表情には「そもそもどうしてこの時期に3人目の妊娠・出産を?」という疑問符が見えます。
先回りして「この時期に妊娠・出産したのは、むしろ私が願っていたことで、運よく三女を授かって大喜びだったのですよ」と私。すると相手はますますびっくりします。
小さな子どもがいて留学もしたいというとき、次の子どもは留学を終えてから、あるいはまずは子どもを産んで、子育てがある程度落ち着いてから留学、と考える人が多いようですが、私は違いました。
いくつもやりたいことがあったら、全部いっぺんに、同時にやる、というのが私のやり方です。
もともと子どもは3人くらいは欲しいと思っていました。しかし、子育てで仕事のブランクを長くしないようあまり年齢の差を開けないで、できれば2歳差くらいの間隔で授かれば理想、と考えていました。
「3人目が欲しい」タイミングと「留学をしたい」という時期がたまたま重なって、どちらかを優先させることはせず、両方とも実現させたにすぎないのです。
なぜって、自分の人生は一度きり。そして、子どもを産める年齢にはリミットがあることを私は産婦人科医として痛いほど知っていました。
3つの大目標は縦糸と横糸のように人生を織りなす
私の場合、「仕事も続けたい」「留学もしたい」「子だくさんの母でありたい」という大きな3つの柱がありました。そしてそれらは別々ではなく、自分の人生を織りなす縦糸と横糸のように、互いを補い合うものでした。
たとえば、仕事で患者さんと向き合うと、この患者さんにベストな治療方法はAとBのどちらか、と迷うときがありました。「経験から判断するとAのほうが適切に感じる。
でも患者さんに納得してもらうには、ここにその科学的根拠を示す統計データが必要」と思うのですが、女性医療の分野には日本人について詳しく調べた研究が乏しく、それが「やっぱり統計のスキルを身につけたい。そのための留学を絶対に実現させよう!」という受験勉強のモチベーションアップにつながりました。