人間関係や健康問題のような「正解のない悩み」。AIを使って解決に導くには、どうすべきなのか。問題解決だけではなく、AIリテラシーも身につく活用法をITジャーナリストが伝授する──。

壁打ち相手として使い倒そう

悩みを人に相談することに抵抗を感じるという方は少なくないでしょう。ですが、悩みから目を背けるのは好ましいことではありません。悩みの種類や程度にもよりますが、解決を先送りすることで後々のダメージが大きくなる可能性もありますし、精神的にもあまり良い影響はないでしょう。

それでも人に相談するのは抵抗があるという方は、OpenAIのChatGPTや、GoogleのGeminiなどのチャット型AI(人工知能)を使って解決の糸口を見いだしてみるという選択肢があります。

このとき気を付けたいのが、人間関係や健康問題といった明確な答えが存在しない悩みに対しては、「AIが正解を出してくれるわけではない」ということです。AIは数学の問題などには明確な回答を出力してくれますが、たとえば「職場の人間関係に悩んでいる」という悩みをAIに投げかけると、「気の合わない人は仕事上のパートナーだと割り切って接しましょう。ハラスメントは労働基準監督署に相談しましょう」というような、一般的な回答が出力される傾向にあります。

もちろん、状況をもっと詳しく入力すれば、回答の質も向上していきますが、それでもそのまま使えるようなアイデアが出力されることはまれです。

そのため、悩みごとに対してはAIを「壁打ち相手」や「聞き役」として使うのが適切だといえるでしょう。

【図表】AIへ相談することで、悩みが整理される
チャット型AIへの悩み相談のイメージ例。解決策を求めるのではなく、自らの思考を整理するための壁打ち相手として使うのがおすすめだと三上氏は語る。

先程のように「職場の人間関係に悩んでいる」という漠然とした悩みを投げかけた場合、一般的な解決策に加えて「相手や状況を教えていただければ、より詳細な回答が行えます」と返答される傾向があります。

これに応えることで、自分が誰との人間関係に悩んでいるのか、相手のどんな点に不快感を覚えているのか、どうなれば改善されたと思うのか……ということが言語化されます。自分が何に悩んでいるかを吐き出すことで悩みの輪郭がはっきりと見えるようになるため、解決策も立てやすくなるのです。

一般的にチャット型AIは、悩みに対してはユーザーに対してとても親身に寄り添う態度を取ります。ある意味人間らしい反応ですが、それでもAIはAIです。あなたの弱みを誰かに話したり、弱みを握ってあなたを脅したりするようなことはありません。ですから、悩みやつらく感じていることをどんどん吐き出してみましょう。ただし、入力した情報はAIの学習に利用されることがあるため、個人情報は入力しないほうが無難です。

また、履歴をさかのぼることで、昔の自分が何に悩んでいたのか、心理状態はどうだったのか……ということも確認できます。当時と現在の自分を比較することで、自分の成長に気付いて気持ちが楽になることもあるでしょう。「これまで相談した人間関係の悩みを整理して」と入力すれば、履歴を参照してレポートも作成してくれます。

無料プランでも可能な「性能アップ」の方法

しかし、注意点もあります。先述したように、現在のChatGPTやGeminiは、ユーザーの意図を汲み取って、可能な限り寄り添う態度を取ります。心理カウンセラーや精神科医に似た振る舞いですが、AIには感情がありません。あなたの感情を理解して寄り添っているわけではなく、これまでの学習データから「こうした悩みを持っている人には、寄り添うような文章を生成したほうがいいだろう」と機械的に出力しているにすぎません。また、誤った情報を出力し、それがさも誤りではないかのように振る舞う「ハルシネーション」という現象を起こすこともあります。