不機嫌な職場をご機嫌にする鍵は、リーダーの言葉にあるという。500件以上の現場を改革してきた橋本将功氏に、職場の「整え方」を聞いた。

世代間の価値観の差を乗り越える話し方とは

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【×】部下に「正解」を押し付ける
【○】部下と一緒に正解を探す

職場に不機嫌が蔓延する原因は、人と人の小さな認識のズレが積み重なることにあります。その中でも多いのが、世代ごとに価値観が違うにもかかわらず、「正解を伝えるのが上司の仕事だ」と思い込んでいることです。

特に今の50代半ば以上の世代は、日本経済が右肩上がりの時代にキャリアを積んだ上司の背中を見て育ちました。高度経済成長期の「経験を積んだ上司が、正解を後輩に伝える」「それを部下が忠実に実行すれば成果が出る」という構図が、正しいものだと誤解していました。

しかし、今は「不確実性の時代」です。どれだけ経験を積んでも、答えのわからないタスクに向き合うことは避けられません。にもかかわらず「自分は正解を知っている」と思い込んだままでは、経営者であれマネジャーであれ、独りよがりの指示を繰り返し、組織を迷走させてしまいます。

若い世代、特にZ世代は、正解がない時代に育っています。「こうやっておけば安心」というルールが通じない現実に慣れており、理不尽な上意下達には付き合おうとしません。威圧的な上司には「言い返すと面倒だから」と表面上は従っても、腹落ちしていなければ、静かに離れていきます。

どの世代の間にもこうした認識の相違があります。これからのリーダーは「正解を知っている人」ではなく「正解を一緒に探していく人」である必要があります。ボランチの長谷部誠選手のように、フィールドに出て選手と同じ目線で試行錯誤するサッカー型のマネジャーが求められます。

まずは、部下の見解にきちんと耳を傾けましょう。たとえ未熟で粗削りに感じても、何をどう考えたかを聞いて、一度「試してみよう」と受け入れてみてください。小さな成功体験を積み重ねていくことで、チームには信頼のサイクルが生まれます。

一方通行の指示を繰り返すだけでは、意見は上がってきません。「どうせ聞いてもらえない」と思わせてしまうと、部下は離れていきます。マネジメントの入り口は対話です。チームの一員としてともに悩むことが大切です。

新規事業で誰も責任を取らない理由

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【×】意味不明な組織改編を繰り返す
【○】事業の目的と予算を全社に公開する

組織改編を行う際、「誰を入れるか」だけが先に決まり、「何をやるか」が曖昧なまま進んでしまうケースが少なくありません。

現場のメンバーの考えを聞かず、経営層だけで人選が行われ、当事者不在のままプロジェクトが走り始めてしまうのです。結果として、社内から人を寄せ集めただけのチームが生まれ、誰が何を目的に参加しているのかが、不明確になってしまいます。

特に、新規事業ではこの傾向が強まります。過去の実績が評価基準になりにくいため、場当たり的に「決裁者」として任命された人が、戦略的視点を持たないまま意思決定を担うことがあるからです。曖昧な人事と不透明な意思決定が重なれば、プロジェクトは迷走します。最悪の場合、現場は形だけの体制図に振り回され、誰も責任を取らないままプロジェクトが崩壊します。