「『収入を得るため』『自分の生活のため』――若者は安定ばかりを望んでいる。それでいいんですか、ということを伝えたかったんです」。
なぜ全国最年少の市長を目指したのか
若い世代を対象にした「岩波ジュニア新書」の1冊。出版前に大人向けのレーベルとジュニア新書のどちらがいいですか、と版元から打診があったという。
しかし「高校生にメッセージを届けたい」という思いから、この形での出版に落ち着いた。
「昨年の『子ども・若者白書』では、何のために仕事をするのかという問いに対して『自分の夢や希望を叶えるため』という答えは15%しかありませんでした。圧倒的に多いのは『収入を得るため』と『自分の生活のため』。若者は安定ばかりを望んでいる。それでいいんですか、ということを伝えたかったんです」
著者・鈴木直道はそういう。全国唯一の財政再生団体である北海道夕張市に誕生した、全国最年少市長の手記である。
鈴木は安定した東京都職員の身分を捨て、財政破綻の町・夕張の未来を切り開くために「年収200万円ダウン、退職金なし」という悪条件の仕事に勇気をもって飛び込んだ。安定よりも夢を追え、というのは体験がいわせた本音だろう。