放送開始3カ月で視聴率は右肩下がり…
NHKの「朝ドラ」(連続テレビ小説)「おむすび」の不振に拍車がかかっている。
第12週の週間平均視聴率(世帯)は13.1%と、第1週の16.1%から3%下げている。
それだけではない。毎朝その回をふりかえるXのハッシュタグ「#おむすび反省会」は、トレンドに入らない日が多く、盛り上がりに欠けている。
さらに、「おむすび」の評判が悪い理由をめぐる記事が、ネットメディアを中心に多くみられる。
本サイトでも、次世代メディア研究所代表の鈴木祐司氏の〈朝ドラ史上まれにみる「第1週で脱落」現象…橋本環奈の「おむすび」が「これから面白くなる気がしない」辛辣理由〉をはじめ、2024年10月の放送開始から3カ月弱で、3本の記事が掲載されている。
「『おむすび』がつまらない理由」を考えるよりも、なぜ、多くの人が「『おむすび』がつまらない」と言うのか、そちらの理由を考えるほうが、面白いのではないか。
すべて「虎に翼」のせいである
本サイトの記事〈主演の橋本環奈さんは何も悪くない…NHK朝ドラ「おむすび」が絶不調なのは、すべて「虎に翼」のせいである〉でコラムニストの矢部万紀子氏が言うように、「おむすび」が絶不調なのは、「初回から何を目指すのかがわかり、エンタテインメントとしても上質だとわかった」。これが、多くの人の実感に通じよう。
「おむすび」の直前、9月末まで放送されていた「虎に翼」は、実在の、それも、立志伝中の人物=「日本初の女性裁判所長」三淵嘉子をモデルにしていた。「多様性の尊重」はおろか、「男女共同参画」といった言葉すらない時代に、主人公の寅子が、いかに戦ってきたのか。
日本国憲法第14条「法の下の平等」をモチーフに、司法の世界、そして、地方での女性の奮闘を描く。その「正しさ」だけではなく、ドラマとしての醍醐味が相まって、社会現象ともいえるほどの支持を集めた。
NHKとしても、これほどまでの賛同を集めるとは、思っていなかったに違いない。もし想定していたなら、平成の、それもギャルを主人公にする「おむすび」は、ありえない。「虎に翼」との落差が、あまりにも大きいからである。
では、なぜ、「おむすび」を編成したのか。