一流企業にコスパ良く入るにはどうすればいいのか。学歴研究家の伊藤滉一郎さんは「就職に強いのは、東大や早慶のような首都圏の有名大学だけではない。三菱商事やゴールドマン・サックスなど最難関企業への入社も狙える『高コスパ』の地方大学がある」という――。
三菱商事株式会社の看板。=2022年11月30日、東京都
写真提供=日刊工業新聞/共同通信イメージズ
三菱商事株式会社の看板。=2022年11月30日、東京都

平均年収2000万円超の最強企業「三菱商事」

今回は民間就活の雄・総合商社の中でもひときわ存在感を放つ、三菱商事とその採用学歴について論じていきたい。

総合商社とは、海外との輸出入貿易を行う商社のうち、特に幅広い商品・サービスを扱う企業のことを指す。これに対し、特定の分野に特化して業務を行う商社を専門商社という。

三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、住友商事、丸紅の5社を総称して「五大商社」と呼ぶことが多い。これに双日と豊田通商を加え、「七大商社」と呼ぶこともある。SNSで「商社マン」と持て囃されているのは主に上記の会社に属する者たちであり、専門商社に勤める人をこうは呼ばない。

総合商社は東大をはじめとする旧帝大や早慶など、最難関の就職を狙う優秀な大学生たちから、外資のコンサルティング会社などと並んで憧れの的となっている。その理由のひとつとして、べらぼうに高い年収がある。

五大商社の2024年3月期の平均年間給与は、それぞれ三菱商事2090万円、三井物産1899万円、伊藤忠商事1753万円、住友商事1758万円、丸紅1654万円となっている。新入社員や女性の一般職も含めての「平均」がここまで高いのは驚異的である。

総合商社ではモノを作っているわけではないため、工場や在庫にかかるコストや管理費用がかからず、運転資金を膨大な人件費に充てられるのだ。

「ガリ勉して医者になるより三菱商事のほうが良い?」

さらに、ここ数年における総合商社の業績は絶好調である。

投資家界のレジェンドであるウォーレン・バフェット氏が日本の総合商社に目をつけた2020年以降、商社の株価は高騰することとなった。ウクライナ危機などの地政学リスクによって資源価格が高騰したことも手伝って、三菱商事、三井物産は初めて純利益1兆円を叩き出した。この圧倒的な業績がボーナスとして社員に還元されているのである。

総合商社の中でもひときわ存在感を放つのが三菱商事である。総合商社の中でトップに君臨し、「国内最強の民間企業」とも言われている。実際、総合商社に複数内定した場合、ほぼ全員が三菱商事に行くという。

2000万円を超える平均年収に加え、年間のボーナスが1000万円を超えたという逸話もある。とんでもない話だ。

最近X上では、「ガリ勉して医者になるより三菱商事のほうが良いのではないか?」といった話題が定期的に勃発するほどである。「医者になるのと商社マンになるのとではどちらが難しいか?」など途方もない議題を永遠と議論している救えない界隈もある。

当然だが、総合商社、ましてや三菱商事に入社できるのは一握りの学生であり、100倍を超えるとも言われる大変厳しい選抜を突破する必要がある。五大商社の採用人数はいずれも例年100人程度であり、すべて足し合わせても毎年の新卒採用が数百人の選ばれし精鋭なのだ。

それでは三菱商事にはどのような性質の学生が入社しているのだろうか。