実質1科目で入れて、三菱商事に就職可能な「神コスパ」学部

結論から言うと、一般的な高校に通う「普通の高校生」が慶應を目指すなら、早々に科目を絞って文学部やSFC(総合政策学部・環境情報学部)に滑り込むのが最も現実的だろう。偏差値30からSFCに入学したビリギャルはまさにこのケースである。

大手企業には学歴フィルターこそあれど、「学部フィルター」を設けている会社は少ないので、とにかく入りやすい学部に滑り込んでおくことをお勧めしたい(その証拠に近年では慶應SFCから三菱商事やゴールドマン・サックス、早稲田スポ科からマッキンゼー就職者が出ている)。

専願で慶應を目指す場合、入試負担は極めて軽いと言って良い。

本キャンパスの学部である法、経済、商、文は「英語+社会+小論文(経済と商は数学受験も可)」の実質2科目で入れるし、SFC(総合政策学部、環境情報学部)に関して言えば、「英語or数学+小論文」という事実上の1科目入試を展開している。

慶應義塾大学SFC(総合政策学部・環境情報学部)
慶應義塾大学SFC(総合政策学部・環境情報学部)(写真=yuichi hayakawa/CC-BY-SA-2.0/Wikimedia Commons

そのため早いうちから科目を絞り、志望学部の出題傾向に合わせた対策をすることで、合格に手が届く可能性は高まるだろう。

ただ、科目が少ないとはいえ、2~3科目を偏差値70程度(河合塾基準)にまで上げておく必要がある。特に英語は積み上げが必要な科目であり、付け焼き刃の対策でなんとかできる代物ではない。そのため、高校2年までは学習時間の半分以上を英語に充ててしまっても良いだろう。私立文系入試は英語で決まるのである。

地方進学校に蔓延する「国公立至上主義」は無視して良い

地方の進学校に通う生徒は、なかなかこうした勉強はしづらいかもしれない。

地方の公立進学校では今でも強烈な「国公立至上主義」が蔓延しており、東京の私大よりも地元の国公立進学を促す風潮があるためだ。

しかし、どうしても慶應に行きたい諸君はそんな空気は無視してしまって良いだろう。東大京大レベルの受験生が片手間で対策するならともかく、地元の国立大学が現実的な学力レベルでは、先生に言われるがまま全科目勉強していたらほぼ間違いなく慶應には受からないからだ。

実際、前述のランキングを見ればお分かりだろうが、地方の大学から総合商社に行く人は非常に少ない。野心のある受験生諸君は教師からの圧をはねのけ、指定校推薦でも私立専願でも、手段は問わないので早慶文系に入ってしまおう。

ただ、慶應に入学したからもう安泰というわけではない。三菱商事を視野に入れる人がここで安心して手を緩めるのは禁物である。

まず、一念発起して一般入試で早慶に入ってきた学生は、首都圏の超名門校や内部(附属校)から上がってきた学生と比較するとかなりのハンデを背負っているということを自覚すべきである。実際、商社や大手広告代理店に内定する学生は、内部生や体育会出身者の割合が非常に高い。

実家の太さも人脈も持たない一般的な早慶文系の学生は、体育会に入る、留学をする、早い時期からインターンをするなどして早期から武器を身につけ、就活に臨むことをお勧めする。