家の寿命がこんなに短いのは日本だけ
日本の住宅は、欧米の国々に比べて、極端に短寿命です。図表1は、少し古い資料なので、近年はもう少し長くなっているかとは思われますが、平成8年(1996年)時点では、日本の住宅は30年程度で建て替えられてしまっています。
耐久性で寿命を迎えてしまっているものもあれば、冬が寒いなどの他の性能面で建て替えられているものもあると思われます。
筆者は、高気密・高断熱住宅の住まいづくりをサポートする会社を経営しています。最近でも築30年程度の家を建て替えたいというご相談は結構いただいているので、欧米に比べて短寿命であることには変わりがないものと思われます。
ちなみに、欧米の家は石造りだから、長寿命なのは当然で、木造中心の日本と比較するのはどうかと言われることがありますが、欧米も戸建住宅は木造が中心です。
2×4工法が米国から入ってきた工法であることはよく知られていることかと思います。日本の住宅が、欧米に比べて短寿命であるのには、構造の問題ではなく、他にいくつか理由があります。
中古住宅に価値がつかない
第一に、欧米に比べて、住宅マーケットで中古住宅の価値が評価されないということです。
図表2は、国土交通省が公表している少し古い資料ですが、既存住宅流通シェアの国際比較です。赤の三角の折れ線グラフが欧米と日本の住宅マーケットにおける既存住宅流通シェアの割合を示しています。
欧米の既存住宅流通シェアがおおむね70~85%程度であるのに対して、日本では14.5%にとどまっています。
最近は、日本でも中古マンションや中古戸建住宅の人気も高まってきているので、もう少しこのシェアは高まっているものと思われますが、欧米に比べて日本は極端に新築が中心で、既存住宅が取引されていないことがわかると思います。
現在も売りに出されている築30年前後の住宅の多くは、中古住宅としてではなく、古家付きの土地として、解体の上、新築することを前提に売買されています。