なぜ「偏差値秀才」は外資コンサルに就職するのか
2010年代以前の外資系コンサルティング会社は、エリートの代名詞として知られていた。
昭和の時代より、偏差値秀才の大学卒業後の進路は、国家公務員、医師や弁護士といった士業、そして都銀や商社などの大手日系企業と相場が決まっていたが、2000年代に入りエリートたちの間に生まれた新たな選択肢として「外資コンサル」が急遽浮上する。
ネットメディアやSNSでは、「東大生の官僚離れ、彼らの視線はコンサルへ」といった記事がセンセーショナルに発信されるようになった。
JTC(Japanese Traditional Company)と呼ばれる伝統的日系企業では終身雇用・年功序列が前提となっており、若いうちは年収が低く抑えられているのが一般的だ。大手企業であっても、年収が1000万円に到達するのは30歳を超えてからというのが普通である。
これに対し、外資系のコンサルでは若手のうちから裁量権が与えられ、成果次第では20代で1000万円超の高年収を得ることも可能だ。
終身雇用制度が崩壊しつつある現代において、コンサルは若いうちから成長のチャンスが大きく今後の転職にも生きるといった声も目立つ。転職や独立ありきで、あくまでファーストステップとして捉える考え方である。
総合コンサルを代表する「ビッグ4」
「コンサル」は一括りにされることも多いが、実は内情はさまざまだ。
主なところでは、経営戦略をメインで行う「戦略系コンサル」、特定の領域ではなくさまざまな業界・サービスをカバーする「総合コンサル」、金融機関が設立した「シンクタンクコンサル」、ITシステムの業務改革を担う「ITコンサル」などがある。
中でも今回注目したいのは、あらゆるサービスを手がける「総合コンサル」だ。
これらは特定の分野に特化せず、IT、事業戦略、財務など多岐にわたる業界業種のクライアント企業の課題解決が求められる。
多方面からの需要に応える必要があり、従業員を多く抱える必要がある。そのため、社員数が数千人規模となるような大規模なファームがほとんどだ。
代表的なのが、「ビッグ4」と呼ばれるファームであり、デロイトトーマツコンサルティング、PwCコンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KPMGコンサルティングの4つを指す。これらにアクセンチュアを加えて「ビッグ5」と呼ぶこともある。
これに加え、近年勢いを増すベイカレント・コンサルティング、日系のアビームコンサルティングなどが有名どころだろう。