処分されたのは「ナスD」
テレビ朝日は、3月19日、「コンテンツ編成局第2制作部エグゼクティブディレクター(50才)」が「会社経費を不適切に使用していたほか、スタッフにパワーハラスメントをしていたことが判明し」たため、「懲戒処分」を行ったと発表した。
この「エグゼクティブディレクター(50才)」が、同局の名物社員「ナスD」こと友寄隆英氏だったとネット上で騒然となった。友寄氏はバラエティー番組「いきなり!黄金伝説。」のディレクターとして名をあげ、2017年から放送された番組「陸海空 地球征服するなんて」でアマゾンの部族を取材した際には取材クルーの一員としてみずから出演。現地で刺青の塗料として用いられる果物の汁を「美容効果がある」と言われ肌に塗ったところ、顔を含む全身が真っ黒になってしまった。
「ナス」のような色のディレクター=Dで「ナスD」と呼ばれるようになり、2020年からは「ナスD大冒険TV」という冠番組を始めるほどの人気を集めていた。
「フジ問題」以降、不祥事の発覚が相次ぐ
同社は当該人物を「ナスD」だとは発表していないものの、担当番組は打ち切られ、ウェブサイトやSNSが軒並み削除された。また、「文春オンライン」は独自入手した社内資料とともに、処分されたのは「ナスD」だと報じた。
今回の処分だけでなく、年明けからのフジテレビ問題以降、テレビ局で不正発覚が続いている。
朝日放送テレビ(大阪)では、取締役が「社内のルールに反して交際費(会食費用)を不適切に使用していた」として、辞任している。朝日新聞によれば、1年弱のあいだに、社内やグループ会社だけの会食に、社外関係者も出席したとして、合計39件・約116万円の交際費を不正に申請・受給していたという。
どちらも、それ自体、処分されてしかるべきである。テレビ業界であろうとなかろうと、不正は許されない。
他方で、テレビっ子として育ち、テレビ局で働いていた私は、業界に清廉さを望むかのような世論には、隔世の感を抱く。テレビ番組も、制作者も、何よりその業界自体、いい加減で、ちゃんとしていなかったから、白い目で見られてきたのではないか。