なぜコンサルが「大量採用」するようになったのか
昨今のコンサルタント大量採用の要因として、DXやAIに関する案件需要が劇的に高まったことが挙げられるだろう。
この手の案件は労働集約型のモデルを前提としており、社員を雪だるま式に増やしていくことが必至となる。
コンサルタントが稼働し価値を提供した分だけ売り上げが上がるモデルであり、数年もたたずに大量の離職者が出ることも踏まえると、まずは人手を確保しなければ始まらないのだ。
新卒採用の場合、スキルや専門性はさほど必要なく、ある程度の思考力があれば採用されるというのが現状のようだ。
一方、アクセンチュアの中途採用の求人情報を見ていくと、SIer出身者を積極的に採用したいという意向が伺える。
システム開発や導入の案件が多く、富士通やNTTデータなどの大手SIer出身者は歓迎されるのだという。もちろん、経験重視で学歴はほとんど考慮されない。
このような今の総合コンサルの採用状況に対し、筆者は既視感を覚えた。10年前のメガバンクの採用状況と重なる部分があるのだ。
その多くは転職前提の「ソルジャー枠」だった
2010年代のメガバンクは、いわゆる「ソルジャー枠」を中心とした大量採用を行うことで知られていた。
東大京大がメインとなる数十人の幹部候補、早慶MARCHを中心とした500~700人のソルジャー総合職、女子大を中心とした1000人近くの一般職が毎年採用され、まるで巨大戦艦のような様相を成していた。
2016年には、なんとメガバンク3行合わせて5000人以上採用している。
今から10年前の2013年度の慶應義塾大学からのメガバンク就職者数を見ていくと、みずほフィナンシャルグループ143人、三菱東京UFJ銀行117人、三井住友銀行74人と、やはり相当な数を採用していることがわかる(図表2)。
こうした採用状況に乗じて、総合商社や大手広告代理店を狙う学生たちが「練習台」としてメガバンクの選考を受けるという風潮も生まれた。今の学生が練習でアクセンチュアやベイカレントにエントリーするのと同じような状況だ。
当時のメガバンクは就職者の多くが離職することを前提としていたため、それを見越して多めに採用するという事情もあったようだ。