※本稿は、伊庭正康『トップ営業の気くばり 「あなたから買いたい」と言われる47の秘訣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
「会社をやめても生きていける」という安心感を得る方法
「毎日、同じことの繰り返し……こんなことでいいのだろうか」
そう思うことはないでしょうか。
営業は、いわゆる決まったルーチン業務が多く、時として成長を感じにくくなるものです。
でも、こう考えられないでしょうか。
ルーチン業務の繰り返しは、あなたの「信頼残高」を増やすチャンスだと。
「信頼残高」とは、スティーブン・R・コヴィー氏の名著『7つの習慣』でも紹介されている考え方で、相手との信頼感の状況を銀行口座の残高に例えたものです。
私は、このことに気付いてから、営業ほどラッキーな仕事はないと考えるようになりました。
だって、会社から給料をもらって、いろいろなお客様と会い、“お困りごと”を解消する、それが仕事なわけですから。
見方を変えれば、会社からお金をもらいながら、自分の「信頼残高」を増やす活動をしているとも言えるわけです。
「信頼残高」の具体的な例を紹介しましょう。
「信頼残高」は、銀行の通帳のようには見えません。
なので、なかなか実感しにくいもの。
私は、勤めた会社を退職する際、その効果を実感しました。
お客様に退職する旨を伝える挨拶をした際、
「退職されるのですね。うちの会社に来ませんか?」
「研修会社で独立を……では、うちの研修をやってもらえませんか?」
と複数の会社からお声をかけていただいたからです。
これは予想外でした。声をかけていただいた方とは、そんな会話になったことは一度たりともなかったからです。
考えてみると、営業職は、引き抜きの多い職種の1つです。
私も幾度か、引き抜きの誘いをいただきました。
すべてお断りをしましたが、引き抜きを受けると、「仮に会社から放り出されても、会社がなくなっても、生きていける」、そんな安心感を得たものです。