都市部は「高すぎて買えないマンション」ばかりになってしまうのか。明治大学教授の野澤千絵さんは「今後も、利便性の高いエリアで建てられる区分所有マンションの相当部分が転売、資産保有、資産退避を目的とする購入者に取得される状況が続けば、都市にとって重要な拠点エリアで十分に使われない空間ばかりが増えていくことになる」という――。

※本稿は、野澤千絵『マンション高騰の真実 都市部の「非居住化」が街を壊す』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

東京都内の空撮写真
写真=iStock.com/maroke
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首都圏における人口増減率

あの手この手の優遇策により大量に供給されてきた住宅ですが、住宅価格の上昇が顕著になった2020年前後で、居住者構成はどのように変化したのかみてみましょう。2020年はコロナウィルスが猛威をふるった時期です。

そこで、2015~2020年と2020~2025年の首都圏の人口増減率を比較してみました。その際、2020~2025年の5年間で人口が増加した自治体と減少した自治体に分けた上で、この5年間で人口増減率が上昇したのか、それとも低下したのかを地図上で整理しました(図表1)。

「都心回帰」とは異なる人口移動

その結果、首都圏では、人口が増加し、かつ人口増減率もさらに上昇した自治体は、東京23区では台東区のみで、他はすべて郊外の自治体でした。つまり、東京23区を含め、首都圏の多くの自治体では人口はまだ増えているものの、その増え方は全体的に明らかに弱まっているのです。一方、目黒区と江戸川区では、2015~2020年は人口が増加していましたが、2020~2025年は人口が減少していました。また、人口は減少しているものの、コロナ禍前の5年間と比べて人口増加率が持ち直したのは、郊外の自治体が中心でした。

この分布を見ると、首都圏では総人口がなお増加しているものの、人口の伸びは東京23区よりもむしろ郊外で目立つようになっており、少なくとも、従来の都心回帰とは異なる人口移動が生じていることは確かでしょう。