日本人の若い世帯が郊外へ住み替えている
また、日本人・外国人ともに30代・40代人口が増えているものの、外国人の増加数のほうが多い自治体は、東京都台東区や大阪市天王寺区のような都心区だけでなく、茨城県つくば市や福岡県大刀洗町のような大都市への通勤圏も含まれていました。
これに対し、外国人より日本人の増加数のほうが多い自治体は、首都圏ではさいたま市大宮区、千葉県流山市、印西市など郊外に偏っており、東京23区には一つもありませんでした。札幌都市圏でも南幌町、福岡都市圏でも福津市といった郊外自治体が中心でした。
こうした30代・40代の住宅取得希望世代の人口動向を見ると、首都圏だけでなく地方でも、都心や都心近接エリアでは地価の上昇と建築費の高騰が進み、日本人の若い世帯が郊外へ住み替えるケースが増えている可能性があります。
ここまで見てきた人口増加率の変化と、30代・40代人口の地理的分布をあわせて考えると、首都圏では東京23区やその周辺自治体で人口増加の勢いが弱まり、相対的に郊外で人口増加が目立つ構造に変わりつつあることがうかがえます。そして、東京都中央区や台東区のように30代・40代人口が増えている自治体でも、その多くは外国人の増加によるもので、日本人の若い世帯が増えているわけではないのです。
居住者構成が変わりつつある
都心や利便性の高いエリアで30代・40代人口が減っているということは、流入より流出のほうが多いことを意味します。今回の分析だけで断定はできませんが、この5年の間に、都心や利便性の高いエリアの住宅価格の上昇が、日本人の若い世帯の定着を難しくし、郊外への転出を後押ししていることを示唆しています。その一方で、「多極分散の推進」という意味では、むしろ良い傾向とみることもできます。
ここで留意すべきは、いま都心や利便性の高いエリアで住宅の供給が続いていても、それが日本人の子育て世代の定着には必ずしもつながらず、その一方で外国人居住者の比重が高まり、居住者構成そのものが変わりつつある現象です。こうした変化は、都心や駅前・駅近といった拠点エリアが、本来どのような人々を受け止め、どのような都市機能を担うべきなのかという都市政策の根本に関わる重要な論点として目を向けるべきでしょう。

