信頼を得られる人は相手からの依頼にどう対応しているか。らしさラボ代表の伊庭正康さんは「ある営業は、お客様の問い合わせに対して『すぐに返事します』と伝えたところ、『まだですか』と催促を受けることがあった。これはお客様がせっかちだったのではなく、返事の期限を具体的に伝えなかったからだ。少し余裕を持った期限として『15分程度お時間を……』と伝えながらも、5分後に返答するのがいい」という――。

※本稿は、伊庭正康『トップ営業の気くばり 「あなたから買いたい」と言われる47の秘訣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

営業は「すぐにやります」と言ってはいけない

営業はスピードにはこだわるのは大切ですが、「すぐにやります」とは言ってはいけません。

このセリフ、つい言っていませんか。

お客様から嫌われるのは避けたい……そんな不安があれば、なおさらです。

しかし、この一見すると無難な答えが、結果としてお客様にストレスや不信感を生むことがあります。

まず、「すぐやります」とは言わないと決めてください。

先ほどもお伝えしたように、重要なのは、納期を明確にすること。

人によってペースは異なるため、納期が曖昧だと、ストレスが生じることが少なくないのです。

実際にあった事例を紹介します。

彼は、イベント会場の営業。

お客様から「予約は可能でしょうか?」との問い合わせが入りました。

その場ではわからなかったので「すぐに返事します」と伝えました。彼はすぐさま予約を担当する部署に問い合わせのメールをして、その返事を待ちました。

その矢先、そのお客様から電話が入ったのです。

「まだですか? そろそろ外出をしないといけないのですが……」と、催促を受けてしまったのです。

まだ、5分もたっていないのに、です。

携帯電話で電話をかけるスーツ姿のビジネスマン
写真=iStock.com/koumaru
※写真はイメージです

これは、お客様がせっかちなのでしょうか?

そうではないですよね。

問題は、返事の期限を具体的に伝えなかったこと。

では、どうすればよかったのでしょうか。

いつ返事ができるかわからないこともあります。

この場合、「すぐ対応します。担当に確認をとりますので、ひょっとしたら10〜15分程度、お時間をいただくかもしれませんが、可能でしょうか?」と言えばよかっただけです。