2023年上半期(1月~6月)にプレジデントオンラインで配信した人気記事から、いま読み直したい「編集部セレクション」をお届けします――。(初公開日:2023年6月6日)
新卒で入社した職場が「最悪」だったら、どうするべきか。2ちゃんねる創設者のひろゆきさんは「日本において『新卒カード』は非常に強いので、そんなカードをすぐ捨てたとなれば、転職活動でも不利になりやすい。すぐに職場を飛び出さないほうがいい」という――。

※本稿は、ひろゆき『日本人でいるリスク』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。

公園で若いアジア系のビジネスマンの肖像画
写真=iStock.com/itakayuki
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「新卒一括採用」は悪なのか

日本には、「新卒一括採用」という独特の仕組みがあります。これについて、「そんなことをやっているから日本経済は世界に後れをとっているのだ」という否定的な意見も多くあります。たしかに、経験のない新卒が一斉に入ってくれば、その企業の生産性は落ちます。しかし、悪いことばかりではありません。

この仕組みがあることで、若者の失業率は低く抑えられているのです。他国の若者の失業率を見てみると、フランス20.92%、韓国10.13%、アメリカ8.16%と、日本の3.7%をはるかに上回っています(2023年5月31日時点)。なぜ、日本以外の国で失業率が高いかというと、企業が人を募集するとき、年齢に関係なくジョブ型のスキルを重視するからです。

多くの先進国では企業は「募集している分野の仕事ができる人」を採用します。となれば、経験の少ない若者や、ましてや新卒はなかなか仕事にありつけません。一方で、日本の新卒一括採用は、まだ社会経験のほとんどない新卒をまとめて採用し、仕事ができるようになるまで育ててくれます。それによって、企業には一定のコストがかかるものの、すごく優秀な学生であっても、まとめて安く買い叩くことができるし、長く縛っておくこともできます。

というのも、一括採用された日本の若者は、諸外国の若者のように転職経験を積んでいないため、自分のスキルを客観的に判断できず、怖くて転職に踏み切れないのです。このように、企業側にも若者側にも、一定のメリットとデメリットがある一括採用ですが、だんだん廃止される傾向にあります。