睡眠不足を解消するにはどうすればいいか。作業療法士の菅原洋平さんは「夕食後の居眠りは睡眠の質を低下させるから、絶対にやってはいけない。睡眠の質とは別に、起床4時間後に、あくびをしていたり、だるい、集中できない、ということがあったら、睡眠の量が足りていない。睡眠時間を増やしていくことで自然に適切な量で安定するから、数分でも早寝をするといい」という――。

※本稿は、菅原洋平『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』(自由国民社)の一部を再編集したものです。

仕事中、手で目を押さえている女性
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夕食後のウトウト眠りは絶対避けるべき理由

眠っていない時間が長ければ長いほど、その後の睡眠の質が向上するという仕組みがあり、これは睡眠圧(Sleep Pressure)と呼ばれています。

これは過去に、徹夜で遊んだ後、翌日もそのまま仕事に行ったとき、その晩にすごく眠くなってぐっすり眠れた、ということで経験した人も多いのではないでしょうか。

ここで、質問です。

夕食後にテレビの前のソファでリラックスしているときに、ウトウト居眠りをしてしまうことがありませんか?

この居眠りはなんとしても避けたいです。

このウトウトによって、睡眠圧が失われて睡眠の質が低下します。すると、朝になっても疲れがとれずに、帰宅後にウトウトしてしまう、という悪循環が発生します。

睡眠の質を最低限確保するには、睡眠前に起きている時間が7時間は必要です。0時に就寝するスケジュールだとすると、少なくとも17時以降は眠らずに過ごすことができれば、睡眠の質は確保できます。

就寝前のウトウトを簡単に避けられる方法があります。それは、普段ウトウトしている場所に座らないことです。振り返ってみると、就寝前にウトウトしてしまう場合は、テレビの前のソファなど、同じ場所で居眠りしているはずです。

海馬と扁桃体の仕組みにより、「そこに座れば眠る」ということを脳が学習していきます。この学習によって、たいして疲れていない日まで居眠りしてしまい、睡眠の質を無駄に低下させているのです。

そこで、休日やそれほど疲れていない日は、あえてその場所とは別の場所で過ごしてみましょう。居眠りせずに済みますので、充分な睡眠圧をもってベッドでどーんと眠れれば、悪循環を断ち切ることができます。