すんなり眠れるならば、睡眠量を増やすチャンス

あなたは、自分が睡眠不足だと思いますか?

自分が睡眠不足かをチェックできるポイントが、2つあります。

①就寝して、あっという間に眠れる

通常、脳は目を閉じてから眠りに入るまでに10分程度かかります。もやもやとまどろむような時間があり、徐々に意識を失って睡眠に入っていくのです。

「枕に頭がついたら一瞬で眠っている」というのは、慢性的に睡眠が不足しているサインです。数分でも早寝をしてみて、累積睡眠量を増やしましょう。

②起床4時間後に眠気がある

起床4時間後は、1日を通して最も脳波活動が活発で、最も頭が働く時間帯です。その時間帯に、あくびをしていたり、だるい、集中できない、ということがあったら、睡眠不足だと認識しましょう。

睡眠時間を増やしていくと、自然に適切な量で安定します。

「睡眠不足ではない」と言っている人たちを好きなだけ眠らせた実験では、10時間以上の睡眠をとりました。睡眠時間は日を追うごとに短くなっていき、実験9日目で8時間強の睡眠になって、それ以降はほぼ同じ時間数眠るようになりました。

すんなり眠れるならば、睡眠量を増やすチャンスです。数分でも早寝をして、起床4時間後のハイパフォーマンスをつくりましょう。

「休日に寝だめは体に良いか」の最終結論

「私は休日、予定がない日は1日中眠っている」という人もいます。眠り過ぎてしまう場合にも、対策を立てておきましょう。

最初に疑うのは、夜の睡眠の質が悪いことです。

深い睡眠をつくる脳波であるデルタ波が、全体の睡眠の20%程度出現すると、睡眠時間は無駄に伸びることがなく適切なタイミングで起きるようになります(ただ例外として、12時間以上の睡眠をとっていると再びデルタ波が出現することがあります。この現象のメカニズムはいまだに明らかになっていません)。

そこで、本書の第3章の朝と夜の明暗を強調したり、第5章の起床11時間後の深部体温を高めて、深い睡眠をつくることが最初にやるべきことです。

次にやるべきことは、「絶対に眠らない時間帯」をつくることです。「1日中眠っている」という人でも、大抵の場合は、19時から0時までは起きています。

この5時間で睡眠圧を溜めているわけですが、最低7時間は起きていないと深い睡眠が得られないので、「絶対に眠らない時間帯」を伸ばします。

「ずっと眠っている」とは言っても、大抵は3時間毎に目覚めては眠るということを繰り返しています。例えば、平日は7時に起きている場合、休日には10時、13時、16時、19時には目覚めていることが多いです。

ここで質問です。もし、休日に寝だめをしてもまだ眠かったら、もっと眠らないといけない、と思いますか? 「はい」と答える人は、この機会に認識を変えてみましょう。その追加した睡眠は余分な睡眠であり、あえて眠らないほうが夜の睡眠の質が上がります。

睡眠は、追加したらその分だけ元気になるはずです。

先ほどの例の場合、16時に目覚めたときよりも、19時に目覚めたときのほうが元気になったという感じがないならば、この3時間の睡眠は余分だと考えて眠らないようにします。16時から0時は絶対に眠らない時間帯にするのです。

すると、総睡眠時間を減らしたにも関わらず、弊害はなく、むしろ調子が良いということに気づくと思います。そうしたら、次は13時と16時の目覚めを比べて、元気になっているわけでもなかったら、13時以降は眠らないようにします。

この手順で「絶対に眠らない時間帯」を増やしていくと、夜間の睡眠の質が上がって睡眠は適切な量になっていきます。