※本稿は、菅原洋平『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』(自由国民社)の一部を再編集したものです。
午後の会議の眠気は「昼食後だから」は大間違い
14時から始まった会議で報告を聞いていたら、ふっと意識が飛んでいた、なんていうことはありませんか? 13時から15時に講義や会議があると、その時間の眠気を我慢するのが大変ですよね。なぜ、この時間は眠くなるのでしょうか。
昼食をとって満腹になったからでしょうか。
午前中の仕事を終えて気が緩んだからでしょうか。
いえいえ、午後の眠気は個人の問題ではありません。
実は、午後の眠気は、私たちにもともと備わっている睡眠――覚醒リズムの働きによるものです。
睡眠――覚醒リズムでは、脳の働きを保つために、1日に2回、大脳を積極的に眠らせるシステムが働きます。
起床から8時間後と22時間後に眠気が起こるので、朝6時起床の場合、1回目は昼14時辺り、2回目は明け方4時辺りです。
午後は昼食の有無に関係なく眠くなり、たとえ徹夜をしていたとしても、明け方4時ごろになると急に眠くなります。
図表1は、イタリアで1993年から1997年の5年間に発生した高速道路の事故件数と発生時刻のグラフです。このグラフを見てみると、昼の14時と明け方の4時に事故件数が増えていることがわかります。
私自身も、様々な現場で研修をしてきた中で、産業事故、交通事故、医療事故、スポーツのけががこの時間帯に多いことを教えていただきました。1日に2回眠気が起こることは、防ぎようがないことなのです。
では、眠気とは作業を邪魔するネガティブな現象なのでしょうか?
そうではなく、眠気とは、覚醒し続けて疲弊した神経を修復し、さらに高いパフォーマンスを発揮させるための、脳による脳のための戦略的なシステムです。
より正確に作業するためのポジティブな現象なのです。
眠気が脳の修復に使えるとわかれば、やみくもにこらえるだけではなく、上手に使いこなそうと発想できます。
本稿では、脳の働きを客観的に管理するために「眠気」のメカニズムを使いこなす方法をお伝えしていきます。