良い睡眠かどうかを判断する方法はあるか。漢方家の櫻井大典さんは「途中で一度目が覚めてもまたすぐに眠れて、朝はすっきり起きられるなら、特に質の悪い睡眠ではない。一方で、『秒で眠れる』という人は要注意だ」という――。

※本稿は、櫻井大典『病気にならない食う寝る養生 予約の取れない漢方家が教える』(学研プラス)の一部を再編集したものです。

部屋のベッドに一人で座り、夜に窓から覗く女性
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“何時間寝た”かよりも“何時に寝たか”が大切

いつも遅くまで起きているみなさん、健康になりたかったら、そして病気になりたくなかったら、今日は昨日より10分でも早く寝ましょう。

睡眠は“何時間寝た”かよりも“何時に寝たか”が大切です。

アメリカの大学で行われた研究では、“毎日6時間の睡眠が2週間続くと、ふた晩徹夜したのと同じ脳の状態になる”という結果も出ています。

しかもそれが、深夜1時や2時になってようやく眠りについた6時間なら、理想の睡眠とはほど遠いです。睡眠中は、体の修復や、脳では記憶の整理整頓が行われており、またメンタルの安定のために欠かせない時間でもあります。

睡眠不足の状態が続けば、めまい、頭痛、胃腸の不調、吹き出物などの身体的な症状や、イライラ、ケアレスミスの頻発、人間関係の不調和など、さまざまな問題を引き起こします。

理想は、23時から3時の間にぐっすりと眠っていることです。とはいえ、仮にそんなことをお伝えしても「23時に寝るなんて、絶対に無理!」と完全に拒否されてしまえば、そこで終わってしまいます。また、私自身、23時に完全に寝ついていることは多くありません。

どんなことならできるか、自分も含めて多くの人が実践しやすい養生は何か。考えた結果、導き出したのが、“10分でも早く寝よう”なのです。

“今日は昨日より10分早く寝る”を週の半分でも実践すれば、それまでより早い時間に寝る割合が増えたことになる。体が10分早いリズムを覚えれば、次第に、以前より少しだけ早く眠くなるといった変化が起こります。

ですから今日は、いつもより、昨日より、10分でも早く寝てみましょう。私もいつも、「とにかく10分でも早く寝ることが大事だぞ、俺」と自分に言い聞かせています。