パンドラの箱
「夫は出張とウソをついて不倫していたに違いない」
出張から戻った夫(当時48歳)を問い詰めると、夫は家を飛び出し、行方不明になってしまった。日向杏樹さん(仮名・当時50歳・バツ2)からの電話やメールはもちろん、子どもたちからの連絡も無視し、音信不通となった。
もともと外資系企業で働いていた夫は、2012年から小さな会社を経営しているが、常駐するスタッフは一人もおらず、事務所に電話をかけても誰も出ない。
日向さんは、これまでほとんど立ち入らなかった自宅の夫の作業部屋に入った。すると夫の会社の帳簿を発見。帳簿の他に、会社設立時からのすべての領収証やレシートが山のようにあった。
「探偵に依頼して調べたところ、夫の愛人は、2019年9月から夫の会社で働いていた愛人Aでした。夫は帳簿や過去の領収書を社内で働く愛人Aに見られたくなかったのでしょう。だから家に隠しておいた。でも不倫で頭がやられている夫は、これらを家に残したまま、愛人のところに逃げて行ったわけです」
夫は過去に何度も「出張から帰宅する」と言った日に帰宅しなかったことがあったため、日向さんはカレンダーアプリ“Time Tree”でスケジュールを共有し、記録を残すように提案。日向さんは山のようにある領収証の日付と、夫が書き込んでいた“Time Tree”のスケジュールを照らし合わせてみた。
夫が「博多出張」と書き込んでいる日、領収証は「東京」だった。「名古屋」と書き込んでいる日、領収証は「神戸」だった。夫の出張は9割がた嘘だった。
愛人Aと交際が始まったのはこの頃だったのだろう。2019年の夏から、愛人Aが住む地域の領収証が増える(Aが働き始める前から交際していた)。夫は電車移動のみなのに、パーキングに5〜6時間止めた領収書。日向さんの誕生日、日向さん自身は娘と旅行に出ていたのに、2人分のケーキの領収証。高級ホテルで昼からシャンパンランチ2人分。九州ではタクシーで海岸線ドライブ……。
11月22日のいい夫婦の日。花屋で1万円の領収書。日向さんに花が届くことはなかった。
海外旅行へもよく出かけていた。100万円近いカードの明細書が見つかった。その中に日本円で11万円の買い物があった。
店名はアルファベット3文字。娘がその3文字を検索すると、「田崎真珠」と判明。日向さんは田崎真珠のアクセサリーなど1つも持っていない。
「夫は女に狂っていたのだと思いました。大家さんへの1400万円もの借金を返さず、夫は女と豪遊していたのです。不倫発覚後、パンドラの箱を開けてみれば、夫の病気はすでに手のほどこしようのない末期だったのでした」