自分と未来は変えられる
現在も日向さんは、夫と連絡をとることはできずにいるが、おそらく愛人Aと一緒にいるようだ。慰謝料請求に関しては、愛人Cからは取ることができたが、愛人Bはずっと夫は独身だと騙されていた被害者だと主張。愛人Aからは慰謝料を取れておらず、現在も裁判で戦い続けている。
日向さんは今、「相手と過去は変えられないが、自分と未来は変えることができる」と思い、「自分と向き合おう」と前を見据える。
「ただ、『私が好きなことって?』と自分に問いかけても、長い間、家族や夫ファーストの生活を送ってきた私は、なかなか思い出せませんでした。それでも、人生後半戦、私の人生から夫が消えた今、私はどんな人生を送りたいかを自問した時、『ワインをちゃんと勉強してみたい』と思いました」
すぐに調べてみると、実務経験がなくても取得できる「ワインエキスパート」という資格があることが分かる。そこで2021年2月からワインスクールに通い、勉強を始めた。
「それまでは夫の夢にうなされる日々だったのですが、夫のことを忘れる時間ができ、30年以上もワインを飲み続けてきたのに知らないことばかりで、新しい知識を得る喜びの日々が始まり、楽しくて仕方がありませんでした」
10月。53歳の日向さんは、1次試験も2次試験も無事合格し、ぶどうの合格バッジを手にすることができた。さらに2022年には、難関の社会保険労務士の資格も取得。近い将来、起業することを目標に少しずつ前進している。
「配偶者の不倫を経験し、離婚することは、膨大なエネルギーを要することだと思い知りました。でも、心の傷が回復する期間も、納得のいく結果の内容も、達するまでの期間も人それぞれなので、もうこれからは焦らず急がず、自分の人生、自分を一番に考えて、自分の思う通りに進んでいこうと思います。そう思えたら、なんだかとっても楽になりました」
過ぎてしまった時間は戻らないが、これからの時間をどう過ごすかは自分次第だ。