人を動かすには、どんな伝え方をすればいいか。人材育成コンサルタントの嶋津良智さんは「アメリカの研究者の実験によると、『キャンセルされるときはお電話をください』から『お電話をいただけますか?』と相手が『はい』と答える伝え方に変えたところ、キャンセルが激減したという。人は自分の意思と行動の間に一貫性をもたせようとする」という――。

※本稿は、嶋津良智『話し方の一流、二流、三流』(明日香出版)の一部を再編集したものです。

オフィスの机の上に座って契約文書を壊すビジネスウーマンの手のクローズアップ
写真=iStock.com/AntonioGuillem
※写真はイメージです

感情に働きかけるには、たとえ話や比喩が有効

・比喩
三流は、説明せず、
二流は、説明し、
一流は、何を使って考えさせる?

「例えば……」

すでにあなたも感じていらっしゃる通り、これは、私の口癖です。たとえ話は、コミュニケーションにとても役立つ方法なので、たとえ話をふんだんに盛り込みながら話しているうちに、口癖になってしまいました。

話し手としても、「例えば……」と言ってしまうことによって、頭をフル回転させてわかりやすいたとえ話を頭の中へ探しに行きます。

もっとも私の場合、ちょうどよいうまいたとえ話が見つからなかったときには、「うまいたとえ話が見つかりませんが、要するに……」と言って、言いたいことをほかの表現に言い換えてごまかすこともあります。

人は感情で動いて、理論で正当化する生き物。そこで、人に動いてもらうには、感情に働きかけることが重要です。それには、相手に身近なたとえ話を通じて、話の内容を自分ごととしてとらえてもらう必要があるのです。だから、たとえ話や比喩が効果を発揮するのです。

「こういうことあるでしょう?」
「あなただって自分がやられていやなことを人にやられたらどう? それをあなたはしたんだよ」

と、相手が体験しそうな例を使って、自分のこととして受け止めてもらう。そうすることで、それが課題であること、どこが問題であるかが、明確になります。