仕事や子育てで叱る場合、何に気をつければいいか。人材育成コンサルタントの嶋津良智さんは「人間は欠点やダメなところを無意識に見つけてしまい、意識していないとダメ出しばかりになってしまう。日本人はほめるのが苦手な人も多いから、その場合は事実を描写して『認める』ことでポジティブな言葉をかけるといい」という――。

※本稿は、嶋津良智『話し方の一流、二流、三流』(明日香出版)の一部を再編集したものです。

日本人男性ビジネスマンが握手を交わす
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

ほめるのが苦手なら、事実を描写して「認める」

・肯定感
三流は、説教し、
二流は、無理してほめ、
一流は、どう向き合う?

日本人は、ほめるのが苦手・下手な人が多いといわれています。心の中では思っていても、口に出すのが恥ずかしいという気持ちがあるのかもしれません。

じつを言うと私は、ほめるのが苦手な人は、無理にほめなくてもいいと思っています。いつもほめない人が無理にほめるとお互いに居心地が悪くなりそうです。無理にほめるよりも簡単に、ポジティブな言葉をかけることは可能です。

それが、「認める」ということです。

「ほめる」ことと「認める」ことの違いとは何でしょうか。

例えば、子供がピアノの発表会に向けてずっと練習をしていました。発表会を見て

「すごいね! 上手だったね!」と言う。これが「ほめる」です。
「最後まで間違えずに弾けたね!」と言う。これが「認める」です。

例えば、今月のノルマ600万円を部下が達成しました。

「すごいね!」これがほめる。
「達成したね!」これが認める。

認めるというのは、事実の描写なんです。ですから、ほめるのが苦手な人も、無理なく言うことができます。言われたほうは、認められたことをうれしく感じます。

ほめるというのは、ほめた人の価値基準に達したという描写です。主観的なんです。だから、同じことで、ほめられるときもあれば、ほめられないこともあります。同じことをしてほめられないと、「ちゃんとやったのに、ほめてもらえない」という不満になります。

認めるというのは、事実の描写です。