社会人に求められるスキルとは何か。明治大学の齋藤孝教授は「重要なポイントを漏れなく押さえ、大事な順から並べる能力は、企画書や報告書、メールなどあらゆるビジネスシーンで活用できる。この能力を高めるためにおススメなのが箇条書きだ」という――。
※本稿は、齋藤孝『最強の言語化力』(祥伝社新書)の一部を再編集したものです。
部下が作った書類にイライラ…
ここで改めて「書く」ということに注目してみましょう。
文化庁の令和3年度「国語に関する世論調査」によれば、現代人の約4割の人が「文章の書き方について関心がある」と答えています。その一方で、公益財団法人 日本漢字能力検定協会が令和4年に行なった調査によると、上司の約85%が部下の文章にストレスを感じていることがわかっています。
文章を書くのが苦手という人は、最初から長い文章に取り組むのではなく、まず短いセンテンスをいくつか作り、これを上手に繫いでいく作業を繰り返すことで、執筆という作業に慣れていくことができます。
まずは「箇条書き」からスタート
そのためには「箇条書き」を型として身につけておくと、様々な場面で役立ちます。思考を整理して要点を簡潔に抜き出し、誰が見ても一目でわかるようにポイントを羅列して問題全体を可視化するわけです。
最初から長い文章を一気に書けなくても、短いトピックを並べてそれを繫げていくと、トピックの選び方さえ間違っていなければ、それなりに文章として成立します。
あとはできあがった文章の接続詞を見直したり、必要に応じて順番を入れ替えたり、整合性を考えながら文章を整えていくというのが流れです。これを繰り返すことで、原稿用紙10枚くらいはさほどストレスなく書けるようになるでしょう。