無意識の粗探しとバランスをとる必要性

例えば、「電話は3回鳴ったら取りなさい」と指示して、その通りにできたら、「3回で取ったね」と言う。これは事実を認めているので、どんなときでもぶれません。そして「見ていてもらえた」という喜びになります。だから、事実を伝えるのは、重要なのです。

「ほめて伸ばす」なんて言葉があります。その一方で、本当に、ほめているだけの教育で伸びるのか、という反論もあります。

私も、ほめることも叱ることも両方大切だと思っています。

でも、あえて「ほめて伸ばす」というのは、人間は相手の欠点やダメなところをみつける天才で、バランスをとるためには、意識してほめることが必要だと思うからです。

人は、探そうと思わなくても、人の粗探しをしてしまうものです。特に、上司・部下、親子、年上・年下などの上下関係があると、そういう傾向が強くなります。

だから、ほめることや認めることを意識していないと、欠点やダメなところを無意識に見つけてしまい、ダメ出ししてばかりになってしまいます。

そこで、とにかくほめて伸ばすつもりで、意識してほめて、認めて、それで初めて叱ることとほめることのバランスがとれるものなんです。

一流は、ほめると叱るのバランスをとる
無理にほめようとせず、認める

自分で過ちに気づくように誘導できるか

・ミスへの対応
三流は、叱って直させ、
二流は、ミスを指摘し、
一流は、どうダメ出しする?

叱る場合やダメ出しする場合は、「これまでの努力が台無しになるよ」という伝え方をします。まず努力やいいところを認めてから、自分で過ちに気づくように誘導するのです。

すると、「非難された」というネガティブな気持ちにとらわれずに、素直に過ちを受け入れて、修正することができます。

人間は感情の動物です。だから、同じことを言うにも、言い方を一つ間違えるだけで、感情はこじれてしまうのです。

三流の話し方だと、部下がミスをした時には

「君がチェックしないとダメじゃないか」

虫眼鏡
写真=iStock.com/Eva Almqvist
※写真はイメージです

という言い方をしてしまうかもしれません。これだと、ネガティブな言葉だけなので、注意をされた部下は、自分を否定された気持ちになってしまいます。

また、

「今、○○をしたよね、これって○○の理由でよくないよね」
「この間、○○という話をしたばかりなのに、同じことをしたのは残念だな」

と、過ちの理由やあなたの感情を伝えるだけでは、まだ二流の話し方です。

一流を目指すのであれば、

「最近、君はがんばって仕事しているね。だからといって、ミスがあってはよくない。きちんとチェックしないと、今までの君のがんばりが台無しになるぞ」

とまず努力を認めた上で、その努力を無にしないために何をすればよいのかを伝えます。そうすれば、部下は自分のチェックが足りなかったから、ミスが発生したのだなと気づくことができます。

残念だというのは、期待をしていた、相手を認めていたということです。理由とともに相手を認めているというポジティブな事実を加えることで、受け取り方は変わります。