人間関係を深めるには何をすればいいか。人材育成コンサルタントの嶋津良智さんは「本音を話し合える関係性を作り上げるには徹底的な自己開示が必要だ。三流は自分を隠し、二流は自分を装うが、一流は『実はバツ2なんです』と自己開示し相手と共有している自分像を増やす」という――。

※本稿は、嶋津良智『話し方の一流、二流、三流』(明日香出版)の一部を再編集したものです。

空に腕を伸ばした女性が、翼で床にシュールな影を浮かべる
写真=iStock.com/fcscafeine
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親友には「公開された自己」がたくさん存在する・関係性の構築

三流は、自分を隠し、
二流は、自分を装い、
一流は、自分をどう語る?

あなたにも親友がいますよね。その人とは、なんで親友になったのですか? あなたの周囲には仲の良い恋人やご夫婦がいますよね。なんでその二人は仲が良いのだと思いますか?

それは、相手も知っていて自分も知っている「公開された自己」が、お互いにたくさん存在するから、親友だったり仲の良い夫婦だったりするんじゃないでしょうか。

「ジョハリの窓」という心理学モデルがあります。これは、自分と他人の間で、どのような人物像を共有しているのか、あるいは共有していないかというものです。

私は、摩擦を恐れずに話をして、「開放の窓」をできるだけ増やすことが、好き嫌いにとらわれずにコミュニケーションを深める秘訣だと考えています。

以前、私のチームに、明らかに浮いていた人がいました。私も正直に言うと彼のことが苦手でした。このままではコミュニケーションを避けてしまうと思って、意識的に話をするようにしていました。

するとあるとき、彼は思いも寄らない話をしてくれました。自分には小学生の時に、両親に捨てられた過去があった、と。彼と弟は親戚の家に引き取られていじめにあい、弟は中学の途中で耐えきれず蒸発。彼は中学卒業と同時に、新聞配達で食い繋いできたといいます。

その話を聴いて私は

「今の話を聴かせてくれてありがとう。こういっちゃなんだけど、だから○○くんはひねくれてるのか。でも、これ、誉めてるんだよ。俺に話してくれて、ひねくれた理由も、ただの嫌なやつじゃないこともわかって、俺はお前のことを好きになったんだ。皆にもその話をしたほうがいいと思う」

その後、タイミングに恵まれ、彼は仲間の前でその話をしました。もともと良いチームだったのですが、そこに彼もなじめるようになったのです。