「僕、じつはバツ2なんですよ」と言えるか
この経験以来、私は新しいメンバーを迎えた時には、必ずその人のヒストリーを聴くことにしました。
縦軸に時間軸(小学生、中学生、高校生、20代前半、20代後半、30代前半、30代後半、40代前半、40代後半)を据え、横軸に勉強、仕事など/趣味、スポーツなど/人間関係、家族、友達、職場など/その他、住居、健康、資格、お金などを聞くマトリックスシートを作って、それをもとにチームに対して私が他己紹介をするようにしたのです。
こうして話を聴くと、仕事の話だけでは出てこない、意外な情報が出てきます。
「バスケで全国大会に出たことがあるんですよ」
という情報をきっかけに、自分との共通点を見出すこともできますし、お互いの「公開された自己」を極大化することができます。
しかし、一方的に聴き出そうとするだけでは、うまくいきません。本音を聴くためには、自己開示が必要です。
例えば、あなたが離婚を経験していて、そのことに引け目を感じていて人前で話したことがなかったとします。でも、もし相手が
「僕、じつはバツ2なんですよ」
と話してくれたら、あなたも
「じつは私もバツ1で……」
というように、自分も自己開示していいんだなと思って打ち明けやすくなりますよね。だから本音を話してもらえる関係性を作り上げるためには、徹底的な自己開示が必要なんです。
というのも、自己開示には返報性があるからです。つまり、自分が開いたものと同じレベルのものを返そうと思う性質があるので、あなたが先に腹を割って話す、というのは相手の自己開示を促すための格好の方法なのです。
自分がしてほしいことと同じことをすればいい
自分が本音で話し、相手も本音で話してくれたら、次は、受け止めることが必要です。
「今日久しぶりに満員電車に乗ったんですが、すごく嫌な気分になりました」
と相手が言った時、「受け入れる」話し方は次のような言葉です。
「すごくよくわかります。満員電車は混んでて嫌ですよね。私もできれば乗りたくないと思っています」
でも、自分はちょっと違うな、と思ったなら次のように「受け止める」だけでいいのです。
「久しぶりに満員電車に乗って嫌な気分になったんですね」
「そういう人は多いかもしれませんね」
しかし、
「みんな同じ思いをしているんだから、そんなことを言ってもしょうがないですよね」
「乗らないで済むように、会社の近くに住むとか、自分で工夫をすればいいんじゃない?」
と、受け止めも受け入れもしないと、次は話す気になりません。
自分がしてほしいことと同じことをすればいいのです。
相手と共有している自分像を増やす