人生で最も大切なことは何か。昭和女子大学総長の坂東眞理子さんは「ハーバード大学の84年にわたる史上最長の研究『成人発達研究』は、幸せな人生を送るのに必要な『条件』として『家族や友人などとの人間関係が一番大きな要因』としている。私たちは人間関係に恵まれるのは運次第と考える傾向があるが、この調査からわかるのは、よい人間関係を手に入れるには利他的な行動が必要で、そのための努力に時間とエネルギーを投資しなければならないということだ」という――。

※本稿は、坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

お互いの手に手を重ねる老夫婦
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ハーバード大が導き出した幸せな人生を送る「絶対条件」

幸せな人生を送るのに必要な「条件」はなんでしょうか?

健康、所得や資産、社会的地位や名誉、ビジネスでの成功などいくつかの要因が挙げられますが、「家族や友人などとの人間関係が一番大きな要因」だと、ハーバード大学の84年にわたる史上最長の研究「成人発達研究」が導き出しています(『グッド・ライフ-幸せになるのに、遅すぎることはない』ロバート・ウォールディンガー/マーク・シュルツ/児島修訳/辰巳出版)。

これは、1938年ごろからハーバード大学の2年生268人とボストンの都心部の地区に住む456人の少年を対象にした調査研究です。

当初は調査対象者が白人男性ばかりだったので、途中から女子大の卒業生が加えられるなど一部変更されたりしましたが、基本的にこの調査は現在も継続されています。最初の対象者はいま70代から80代になっています。

被験者は最初に全員、対面調査を受け、家庭を訪問しての両親の対面調査と健康診断も行なわれました。2年ごとに調査票が送られるほか、約15年ごとに対面調査が実施されるという長期間の調査です。