年齢と幸福度の関係はU字型
「幸せな人生を送りたい」
こう願うのは私たち人間の自然な欲求です。この願いを叶えるためにも、これまで数多くの研究者が幸せの決定要因について分析を行ってきました。この中でも、多くの研究者の注目を集めてきたのが年齢と幸せの関係です。
「えっ! 幸せの度合いって各個人でだいたい決まっていて、年齢によってそんなに変わらないんじゃないの?」と思われる方も多いかもしれません。しかし、これまで600ほどの学術研究による分析の結果、年齢によって私たちの幸福度が変化することがわかっています。
具体的な研究結果を見ると、①年齢によって幸福度の水準が変化する、②その関係はU字型のような形状になる、③年齢と幸福度のU字型の関係は世界各国で見られる現象である、という点が明らかになっています。
この年齢と幸福度の関係は日本を含めた多くの研究で指摘されていることもあり、幸福度の重要な1つの特徴として捉えられてきました。
しかし、最新の研究によって、年齢と幸福度の関係に変化が生じることがわかってきました。
結論を先取りすれば、今幸福度が最も低くなっているのは、2017年以降に18~25歳となった若年層です。これにはいわゆるZ世代も含まれています。
今回は年齢と幸福度に関する最新の研究を詳しく紹介したいと思います。
幸福度が最も低くなるのは48.3歳
年齢と幸福度の関係について精力的な研究を行っているのは、ダートマス大学のデビッド・ブランチフラワー教授です。
彼の研究によって、幸福度と年齢の関係は一定ではなく、U字型になっていることが指摘されてきました(*1)。幸福度は若年層の時に高く、中年になるにつれて低下し、高齢層になると再び上昇するといった動きをするわけです(図表1)。
この年齢と幸福度のU字型の関係は、先進国のみならず、発展途上国を含んだ世界145カ国で確認されており、地域や文化を問わず見られる傾向だとわかっていました(*1)。
さらに、ブランチフラワー教授は世界145カ国のデータから最も幸福度の低くなる年齢を算出しています。その年齢とは48.3歳であり、まさにミッドライフクライシスと言われる中年期に幸福度が最も低くなっていたのです。