幸福度のU字型が崩れた

これまで幸福度が高い層として認識されてきた若年層の幸福度の急速な悪化は、ショッキングだと言えるでしょう。

年齢と幸福度のU字型の関係は、世代(いつ生まれたのか)に関わらず見られた傾向であったわけですが、近年の若年層はこれまでとは違う状況に直面している可能性があります。

また、今後この若年層が加齢したときに幸福度がどう変化するのかという点は興味深いポイントです。もしかすると、中年期に向けて幸福度がさらに低下する可能性があり、そうなれば図表1より下の水準でU字型を描くことになります。この点については今後の動向を見ていく必要があるでしょう。

若者の絶望感が上昇している

ブランチフラワー教授らはBRFSSのデータを用い、若年層の絶望感がどのように変化したのかも検証しています。ちなみに絶望感とは、「過去30日間のうち、メンタルヘルスが悪かった日は何日ありましたか?」という質問に対して、「30日全部」と回答した割合で計測しています。

この結果を見ると、アメリカの25歳以下の若者の絶望感が2015年以降に上昇していることがわかりました。2009年時点で若年男性の絶望感の割合は3.0%だったのですが、2022年には7.3%へと増加しています。また、同期間において、若年女性の絶望感の割合は5.6%から10.6%へと増えていました。若年女性の変化は特に大きく、2倍近く絶望感を持つ割合が増えています。

ちなみにこの間、中年層の絶望感も増加していました。中年男性の絶望感は4.5%から6.8%へと上昇し、中年女性の絶望感は6.0%から8.6%へと上昇していました。ただ、その増加は若年層よりも大きくなかったため、今アメリカで最も高い絶望感を持つのは、25歳以下の若者、特に女性となっています。