「電気が全部ソーラーなら災害時でも困らないね」

東京の郊外に住むフジイチカコ氏は、2012年9月に電力会社との契約を解除した。以来、電力会社からいっさい電気を買うことなく、約14年間「電気代0円」の生活を続けているという。

フジイ チカコ
フジイ チカコ(ふじい・ちかこ)
染織作家。東日本大震災をきっかけに、「お財布と環境にやさしい暮らし」を目指してベランダにソーラーパネル(写真中央)を導入。以後、現在に至るまで電力の自給自足生活を行っている。コミックエッセイ『ソーラー女子は電気代0円で生活してます!』(漫画・東園子氏)では、現在の生活に至った経緯や生活で起こったトラブルを赤裸々に語っている。右下は太陽熱で調理を行うソーラークッカー、左下はソーラーパネルの電気を蓄電するバッテリー。

フジイ氏の本業は染織作家。「染織」とは、布や糸を「染める」ことと「織る」ことの両方を指す。藍や紅花、柿といった植物から取り出した色素で糸や布を染め、ミシンで縫って帽子やシャツ、羽織ものなどに仕立てている。

電気を買わない暮らしへの一歩目は、11年3月の東日本大震災を機に行われた計画停電だった。「災害や事故がなくても、電力会社の都合で電気が使えなくなることがあるということに驚きました。購入する電気に依存しすぎないほうがいいかもしれないと思い始めたんです」(フジイ氏。以下同)

震災後には全国的な節電キャンペーンがあり、フジイ氏も節電を行うことに。電気の契約容量を下げてみると、それまで月3000円台だった電気代が一気に2000円台へ落ちた。

だが、フジイ氏はそれだけで満足しなかった。ただ使う電気を節約するだけではなく、電気を自給することで電力会社への依存度を下げることを考え始めたという。

「計画停電で電気が使えないときは、仕事仲間とランタンや懐中電灯を持って近所のカフェに集まっていました。私はキャンプ用のソーラーランタンを持ち込んでいたのですが、そこから『家の電気が全部ソーラーだったら、お金もかからないし、災害時でも困らないのにね』なんて話をしたことがきっかけになり、実際にソーラー発電機を導入してみようと思ったんです」

そして11年8月、知人の協力を得ながらベランダにソーラーパネルを設置し、発電した電力をバッテリーに溜めて使うことが可能になった。電球などに使う電気を自給できるようになり、電気代は月800円程度まで落ちた。

冷蔵庫を使わずに夏をどう乗り切ったか

しかしながら、電気代を下げるためには使う家電を厳選しなければならない。消費電力をおさえるため、エアコンは使用をやめて扇風機に、ファンヒーターはガスストーブに、お米を炊く際は電気炊飯器ではなく土鍋を使うなど、様々な断捨離や置き換えを行っていった。

さらに電気を節約するため、便利だが消費電力も大きい冷蔵庫の使用もやめることにした。

「冷蔵庫の電気を切っても、意外となんとかなることに気がつきました。味噌や醤油などは常温でも保存ができますし、乾物や豆などの食材も冷蔵庫なしで大丈夫。野菜は台所で水を張って活けるようにすれば、数日もちます。お肉や魚などの生鮮食品はその日に食べる量だけを購入すればいいので、ごみやフードロスはほとんど出なくなりました」

(写真=本人提供 構成=本誌編集部)