開業直前、“おいしくないラーメン”に妻が愕然
東京・西武柳沢に「たなか青空笑店」という人気店がある。
「食べログ」では3.68点の高評価で、西東京のラーメンでは堂々の3位という名店。しかし、この店は少し不思議なラーメン屋だ。店に入る前に靴を脱ぐ。店内の暖簾にはなぜか「ゆ」の文字。煮干しラーメンのお店なのに卓上にはタバスコ。限定ラーメンの札は段ボール製で、券売機の上に無造作に積み上がっている。
初めて訪れた人は、きっとこう思うだろう。
「なんだこの店は?」
だが、その「違和感」こそが店主・田中宏樹さんの狙いだった。
「“変だね”って言われるの、好きなんです」
そう笑う田中さんの隣には、妻・奈実さんがいる。二人三脚で店を切り盛りする現在の穏やかな空気からは想像しにくいが、ここに至るまでには何度も修羅場があった。
特に、開業直前。
ようやく夢だったラーメン店を開くはずの夫が作ったラーメンを食べた奈実さんは、愕然とした。
「……これ、本当に出すの?」
しかも、それはオープン直前だった。



