「変なラーメン店」がたどり着いた夫婦の形
同業者が「絶対にやらない」ような「普通じゃない」ことにあえて時間と情熱を注ぎ込む。成田空港時代、「他の人でもできる仕事」が嫌だった青年は、ようやく自分にしかできない店を作ったのだ。
今、夫婦の関係は大きく変わった。以前はすれ違いばかりだった。今は、一緒に働き、一緒に悩み、一緒に笑う。
「共有する時間が増えました。今まで少なすぎたんだなって」
奈実さんはそう話す。
子供の試合を見に行けるようになった。「幸せだな」と口にする回数も増えた。
田中さんも、「苦労はないかもしれない」と言う。もちろん、限定ラーメンのネタに悩むことはある。思い描いた味にならず、頭を抱える日もある。
それでも、夢の途中にいる。だから苦しくない。
かつて「独立させてくれないなら離婚しようかと思った」とまで追い詰められていた夫婦は今、同じカウンターの内側に立っている。
靴を脱ぎ、リラックスしてラーメンをすする客席を見ながら。そこには、「変なラーメン屋」だからこそ辿り着けた、夫婦の形があった。


