“変だね”って言われるのが好き

2021年、コロナ禍の中で「たなか青空笑店」はオープンした。「カッパ64」時代の常連客が駆けつけ、初日から大反響だった。

「タナニボ」は濃厚な煮干だが塩味が高すぎず、とても食べやすい。煮干を炊いて、最後はミキサーにかけて濾して作るその一杯は、ラーメンの塩味が苦手な奈実さんにも大好評の一杯だ。開店から5年、地元の常連客に支えられている。

看板メニュー「タナニボ」。濃厚な煮干だが塩味が高すぎず、とても食べやすい。
筆者撮影
看板メニュー「特製タナニボ 1200円」。濃厚な煮干だが塩味が高すぎず、とても食べやすい。

「靴を脱ぐラーメン店」という珍しいスタイルも話題になった。実は当初、土足禁止にするつもりはなかったという。だが、「カッパ64」の島田社長に「絶対、靴を脱ぐ店がいい」と勧められた。結果的に、それが店の大きな個性になった。

店内は掘りごたつタイプのカウンターがある
撮影=プレジデントオンライン編集部
店内は掘りごたつタイプのカウンターがある

「変なポイントをいっぱい作りたいんです」

田中さんは言う。暖簾の「ゆ」もそう。タバスコもそう。煮干しラーメンにタバスコを置く店など、普通はない。でも、「普通じゃない」がいい。ここにはパスタ店で9年間もがき続けた田中さんならではの感覚が活きているのだ。

暖簾の「ゆ」、この先はトイレ
筆者撮影
暖簾の「ゆ」、この先はトイレ
卓上に置いてあったタバスコ
筆者撮影
卓上に置いてあったタバスコ

「“田中さんって変だね”って言われるのが好きなんです」

その「変さ」は、奇をてらっているわけではない。人と同じじゃつまらない。自分の店なんだから、自分にしかできないものを作りたい。

ラーメンライターとして全国各地を回っているが、「靴を脱ぐ」ラーメン店というのはほとんど見たことがない。席の回転率や手間を考えれば、靴を脱がせるのはご法度と考えられるからだ。

だが、田中さんは“恩師”島田社長の言葉に直感で乗った。

「お客さんに面白がってもらいたい」「自分たちらしい特別な空間にしたい」という純粋なこだわりを貫いたからである。