石破内閣の支持率はなぜ下げ止まったのか

正月ムードも抜け、エンジンもかかってきたので、これから1年の政界を展望してみたい。いうまでもなく、2025年は選挙の年である。7月には都議選、参院選がある。少数与党という状況で、石破首相はどう戦うのか。端的に言えば、いつ衆議院を解散するのかという点に注目している。

石破茂という政治家は、議論を大切にするのが特徴だと思う。誰とでも議論を交わし、とことん話し合いながら、自分の考えを伝え、政策を決めて、実行する。少数与党となったいま、この石破首相の行動パターンが生きてくると考えている。年末から年始に行われた報道各社の世論調査では、石破内閣の支持率は40%前後といったところ。決して高くはないが、安定している。下げ止まったといってもいいかもしれない。コツコツ実績を積み重ねて、ここから反転してもらいたい。

1月24日からの通常国会では、当初年度予算の成立が第一の課題となる。少数与党という制限がある中で、野党の要望を取り入れながら、どのように石破カラーを出していくか。これまでの内閣と違って、石破首相ならではの政策を打ち出すのは非常に厳しい状況だ。しかし、石破首相の議論の力で、この厳しい状況を乗り越えれば、支持率もジワジワ上がってくるのではないかと予想している。

石破首相は歴代の首相と比べても正直だ。年末の講演で、「なってみて思うけど、普通の閣僚の何倍もしんどい」「新聞を読んだって誰も褒めてくれない」「ネットを見たら本当に悲しくなる」「寝る時間もほとんどない」などとボヤキを連発したという。一般に政治家は弱みを見せたくないもので、「つらい」とか「厳しい」とかネガティブな発言は避けるものだ。だが、石破首相は記者も聞いている講演で率直に語ってしまう。また、衆参ダブル選挙や大連立の可能性に関する質問にもはぐらかさずに誠実に答えている。こういう姿勢は、石破首相が国民に求める「共感」につながるのではないかと思う。

12月27日の内外情勢調査会で講演する石破茂首相
ぼやき
12月27日の内外情勢調査会で講演する石破茂首相。この講演にて石破首相は「普通の大臣より何倍もしんどい」「寝る時間はほとんどない」などと自らの心情を吐露した。これまで見てきた首相像とあまりに違うことから、飯島氏も驚いたようだが、「国のトップに親しみを持ってもらうチャンスかもしれない」とも語っていた。

幸いにも、自民党ではポスト石破の動きはまだ出ていない。通常国会では安心して石破カラーを見せられるような政策に取り組んでもらいたい。

党内には石破おろしの動きはなくても、少数与党の現状では、内閣不信任案が可決してしまう可能性が指摘されている。実際、昨年末から今年にかけて、世界各国で内閣不信任による政権交代が頻発している。フランスは下院で内閣不信任案が可決されたし、ドイツでは首相の信任投票が否決された。カナダでは9年間の長期政権だったトルドー内閣への不信任が決定的となり、トルドー首相が辞意を表明した。

しかし、日本ではその心配は少ないと考える。たしかに単純に議席数の足し算では衆議院は野党が与党を上回る。だが冷静に考えてみれば、立憲民主党・日本維新の会・国民民主党、さらにはれいわ新選組から共産党までが一致して行動できるとは思えない。不信任案に賛成して石破内閣を倒すということは、その後の政権構想まで準備する必要があり、いまの野党各党の動きを見れば、現実的でないことはよくわかるだろう。

もしも内閣不信任案が可決した場合、石破首相は、10日以内に衆議院の解散か、内閣総辞職を選択しなければならない。石破首相が解散を選んだ場合、通常国会で「裏金疑惑」(実態は政治資金収支報告書不記載だが)のようなスキャンダルでもない限り、野党側が今回ほどの議席を獲得できるとは考えられない。政権を担う能力が不足している野党にとっては、下手に政権を取るために勝負に出るよりは、現在の議席をキープして、個別の政策で与党の譲歩を引き出すほうが得と考え、無理に不信任案を出さないのではないか。

私は、不信任案が出ても出なくても、思い切って衆参ダブル選挙に踏み切ってもらいたいと考えている。

米国では2期目のトランプ大統領が就任し、ヨーロッパ各国の政情は不安定。東アジアでは、韓国の尹ユン大統領をめぐるドタバタが続いているし、北朝鮮は相変わらずミサイル実験を繰り返している。就任前には外交経験が少ないことが心配された石破首相だが、外交の現場でも誠実な話し合いができる人柄が役立っているようだ。全く問題ないと思う。

(写真=時事通信フォト)

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