AIの進化により、コンサル界に変化の波が押し寄せている。複数の戦略コンサルティングファームに在籍してきた松本昌平さんは「今後は人間にしかできない泥臭い部分を担えるコンサルが生き残ることになる」という――。
AIアプリケーション
写真=iStock.com/WANAN YOSSINGKUM
※写真はイメージです

AI普及がコンサルの仕事を変える

AIによってコンサルの仕事がなくなる――近年、そうした説がまことしやかに広まっている。しかし、実際にはコンサルの仕事が大きく減ることはないだろう。むしろ、短期的にはAI対応の影響などで増えるという話すらある。ただし、AIの普及によってコンサルの仕事の中身は変わるし、付加価値の出し方も変わる。その結果として、クライアントのコンサルの選び方も変わることは間違いない。

ここ一年ほどで、AIの性能は目に見えて上がった。コンサルが行う仕事のうち、単なる要約や議事録作成だけでなく、調査や論点整理、仮説の叩き台づくり、ストーリーラインの骨格づくり、初期的なスライド作成までこなす。中堅くらいまでが担ってきた仕事のかなりの部分が、すでにAIに食われつつあるのだ。

これはコンサルの根拠となってきたスキル――情報へのアクセス、整理のスピード、仮説構築の型、資料化の技術といった知的生産の基本動作をAIというソフトウェアが巻き取っている、ということだ。

コンサルのスキルはAI活用でも有効

もちろん、現時点ですべてがAIに置き換わるわけではない。クライアントとの高度なコミュニケーション、プロジェクト全体のマネジメント、論点の設計など、職位の高いシニアコンサルの領域では、まだ人間が積み上げた経験のほうがAIに勝る。

むしろ、現状でいうならば、シニアコンサルがAIを駆使することで、以前より遥かに高い生産性を実現するケースも見られる。これは高度なコンサルスキルがあるからこそ、AIに対して適切な問いを投げかけ、返ってきた答えの妥当性を見抜くことができるからだ。

だが、AIがすでに「考えること」そのものに踏み込み始めている以上、いまの進化のスピードを考えると、遅かれ早かれシニアコンサルの仕事さえも、かなりの部分を食われることは想像がつく。