スマートな仕事ほどAIに置き換わる

最もAIによる影響を受けやすいのは、抽象的な思考や整理の比重が高い仕事である。純粋に考え、整理し、仮説をつくり、きれいな資料に落とし込むタイプの仕事ほどAIに侵食されやすい。企業の進むべき方向を整理して仮説を立て、意思決定の材料をつくる「戦略コンサル」は、その代表例の一つだろう。

一方で、残りやすい領域もある。現場に入り込み、複雑な業務フローをほどき、属人化した仕事を言語化し、本社と現場のあいだを往復して調整を重ね、実行まで持っていくような支援だ。AIは工場や店舗や営業現場の空気を読まないし、対立する当事者のあいだに立って落としどころをつくることもできない。そう考えると、業務系や伴走型、社員代替型コンサルは相対的に残りやすい。

従来は、戦略コンサル>総合コンサル(業務系)>ITコンサル>社員代替型コンサルという序列が普通で、つまりスマートに見える仕事ほど上に見られ、現場に近く泥臭い仕事ほど下に見られがちだった。だがAIは、その「スマートに見える部分」から先に食っていく。コンサル業界のヒエラルキー自体が入れ替わる可能性がある。

【図表1】コンサルには種類と序列がある

AI時代のコンサルに求められるもの

では、AI時代のコンサルに求められる条件とは何か。私は大きく次の三つに収斂しゅうれんしていくと考えている。

第一に、人ならではの価値を生かせること。まさに現場を回すような社員代替型のコンサルがこれにあたる。コンサル内における営業職もそうだ。顧客との信頼関係を築き、相手の本音を引き出し、案件を前に進める。サービスを買うのは結局のところ人間であり、重要な意思決定は対人関係の中で行われる。

第二に、AIを使って成果物全体を設計・監督し、その妥当性を説明する力があること。ただ単純にAIに作業させるだけでは価値を生み出すことはできない。AIに何を問い、どこまで掘らせ、どの出力を採用し、どこで人間の判断を差し込むのかを設計できる人が必要だ。「象遣い」ならぬ「AI遣い」である。さらに、AIの出力をロジックや根拠を含めて説明する人も必須だ。

第三に、AIと現場をつなぐ力があることが挙げられる。現場の事実をAIが扱える形に変換し、逆にAIが出した結果を現場が動ける言葉に翻訳し直す。AIと組織のインターフェースになれる人材である。