ラーメン大賞で1位を取った埼玉・蕨の名店
東京都心から約30分。埼玉県のJR蕨駅から少し歩いた静かな住宅街に、行列を作る人気ラーメン店がある。「麺屋 永太」。
その年の最もおいしいラーメンを決める「TRYラーメン大賞」の名店部門で、MIX部門、つけ麺濃厚部門でダブル1位を受賞した名店中の名店だ。
派手な看板もなければ、繁華街にあるわけでもない。それでも、昼のわずか4時間の営業に合わせて人が集まる。扉を開けると、カウンター越しに寡黙に一杯一杯を丁寧に作る店主の永松孝太郎さん(44)。その隣で、柔らかい目配りで店内を整える妻・文子さん。ふたりの呼吸が、この店のリズムをつくっている。
店に漂う空気は、どこか凛としている。誠実で、まじめ。
濃厚な豚骨スープの奥に、重層的に絡む魚介の旨味。派手さはないが、深い。奇抜ではないが、強い。その味わいは、永松さんの性格そのもののようでもある。
ラーメン屋を目指すきっかけとなった「一杯」
永松さんは1981年10月生まれ。地元・蕨で育った。
「ラーメン屋って、子どもの頃ほとんど行ったことなかったんですよ」
転機は浪人生活を送っていた18歳のころ。友人に連れられ、当時蕨にも支店があった名店「屯ちん」へ。そこで出会ったつけ麺に衝撃を受ける。
当時はまだつけ麺が全国的にはそれほどメジャーではなかった時代。猫舌だった彼にとって、麺を“つける”というスタイルは理にかなっていた。一気にラーメンの奥深さに魅了され、インターネットで有名なラーメン店を調べては予備校の合間に通う習慣ができた。その中で、後に永松さんが自身のラーメン店を開くきっかけとなったのが、当時高田馬場にあった「べんてん」(今は成増で営業中)での些細な出来事だった。



