年齢を重ねても友人関係を深められる人は何をしているか。昭和女子大学総長の坂東眞理子さんは「利他的に行動するのが友人を得る秘訣だ。高齢になっても、人を褒める、応援する、助けようとする人のまわりには新友が集まり、頑張っているのを応援することで友情は育まれる。そうした友人のなかから、生涯の親友ができるかもしれない」という――。
※本稿は、坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
友人は「選ぶ」ものではなく「出会う」もの
「友を選ばば書を読みて、六分の侠気四分の熱」というのは与謝野鉄幹の詩です。人生を豊かにするうえで友人はとても重要です。
私は、友人は「選ぶ」ものではなく「出会う」もの、友情は「育てる」ものだと思っています。
なんでも打ち明けることのできる友人、自分の長所も欠点も受け入れて励ましてくれる友人がいてほしいと、多くの人は願います。
人生、そうした友人に巡り会えば、それはとてもすばらしいことではありますが、それは現実には難しいことでもあります。
そうした友人との出会いに恵まれるのは縁に左右されます。そして友情にまで育つのは、出会ったあとのつきあい方が大きくものをいいます。
出会いは偶然のものです。たまたま近所に住んでいた、中学や高校で同級生になった、職場の同僚のなかで気が合った、などなど。
しかしせっかく出会って、しばらく親しくつきあっていても、引っ越したり卒業したり、転勤すると、いつの間にか接する機会が少なくなり、やがて連絡先もわからなくなっていきます。
しかし、いくらこちらが素敵だな、立派だなと思う相手でも、きっかけがなくて親しくなれない場合も多いのに、いっときとはいえ親しくなれたのは、とてもラッキーなこと。
その縁が消えてしまうのはさびしいことなので、細々でもいいから、友人とのつながりは保ちたいものです。